高市早苗氏が、日本憲政史上初の女性首相として歴史に名を刻みました。10月21日に召集された臨時国会で第104代首相に指名され、高市内閣が発足。この「硝子の天井」を打ち破った高揚感から、世論の支持は高いものの、衆参両院で少数与党という厳しい政権運営環境に変わりはありません。特に、閣外協力関係にある日本維新の会との間での衆院議員定数削減をはじめとする連立合意事項の実現は、容易ではないと見られています。
参院本会議へ向かう高市早苗首相、初の女性宰相として日本の未来を語る準備
少数与党体制下の高市内閣の課題と戦略
高市内閣が掲げる「責任ある積極財政」と「力強い外交・安全保障政策」をどのように具体化していくのかが、喫緊の課題です。日本維新の会との間で政策調整を図るための協議体をいかに機能させるかも重要な政権運営戦略となります。12月17日まで続く臨時国会で一定の成果が求められる中、自民党と維新の会による自維政権は、その体制作りが急務と言えるでしょう。
盤石ではない党内・与党内基盤
高市首相の政権基盤は、必ずしも強固ではありません。党内基盤においては、総裁選での勝利後に行われた党人事で、麻生派と旧茂木派に偏った論功行賞の体制を構築した結果、石破茂氏を主流派とする勢力との間に距離が生じています。
この状況を受け、高市首相は閣僚人事で挙党体制を演出しました。総裁選でライバルであった小泉進次郎前農林水産相の防衛相、林芳正前官房長官の総務相への内定を、党両院議員懇談会前にメディアにリーク。さらに、21日の組閣では、麻生派と旧5派閥からそれぞれ1人以上を起用し、石破氏側近である赤澤亮正前経済再生相(無派閥)を経済産業相に横滑りさせるなど、「派閥均衡人事」を取らざるを得ない状況が浮き彫りになりました。
与党内基盤では、公明党が連立を離脱したことによる空白を埋めるため、日本維新の会に閣僚参加を求めましたが、維新側は閣外協力にとどまりました。しかし、自維連立の立役者となった維新の会の遠藤敬国会対策委員長を首相補佐官に兼務させることで、両党間の提携を担保。今後、20日に交わされた連立合意書に含まれる衆議院議員定数の1割削減や「副首都構想」の実現に向けた進捗度が、自維連立の安定性を左右する重要な要素となるでしょう。
衆参における首相指名選挙の結果が示す現実
衆議院での首相指名選挙では、高市氏が第1回投票で、自民党(196人)、維新の会(35人)に加え、衆議院会派「改革の会」の3人、「有志の会」の1人、そして無所属2人(うち1人は議長)の計6票を得て237票を獲得。過半数(233)を上回ったことは、今後立憲民主党などから内閣不信任決議案が提出されても否決できるという、政治的に小さくない意味を持ちます。
一方、参議院では、第1回投票で高市氏が123票を得たものの、過半数(124)には達せず、決選投票で国民民主党議員の誤投票を含む125票を得るという結果でした。これは、高市内閣が直面する少数与党の現実を改めて突きつけるものとなりました。
展望と課題
高市早苗政権の始動は、初の女性首相という期待とともに、少数与党という厳しい現実の中で多岐にわたる課題を抱えています。党内基盤の強化、日本維新の会との連携の深化、そして具体的な政策の実現に向けて、高市首相の手腕が問われることになります。特に、自維連立の合意事項である衆院議員定数削減や「副首都構想」の進捗が、政権の安定と日本政治の将来を左右する鍵となるでしょう。
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