小泉進次郎農水大臣は、米価安定のため、令和3年産10万トン、令和2年産10万トンを含む計20万トンの政府備蓄米を追加で市場に放出すると発表しました。「古古古古米」と呼ばれる古い備蓄米の放出に、一部の小売店からは品質への不安や販売見送りの声も上がっています。この新たな備蓄米放出は、消費者の手に届く価格にどの程度影響を与えるのか、注目が集まります。
追加放出の詳細とこれまでの動き
政府は今回、令和3年産米10万トンと、さらに古い令和2年産米10万トン、合わせて20万トンの備蓄米を市場に供給します。農水省の小泉大臣は、店頭での5キロあたり1700円程度の価格帯を想定していると述べました。
この追加放出のうち、まずは比較的年次の新しい令和3年産米12万トンの受付を明日午前10時から開始します。対象はこれまでのスーパーに加え、募集を一時停止していた大手小売りや町のコメ店にも広げられます。
これに先立ち、備蓄米がすでに消費者の手に渡る事例も見られます。先日、仙台から東京駅まで新幹線で運ばれた備蓄米は、アイリスオーヤマを通じて予約販売され、「安くて助かる」と消費者から歓迎されました。
仙台から新幹線で東京駅に運ばれた政府備蓄米また、百貨店のお中元として備蓄米ではないものの「感謝を米て」として提供され、感謝される一幕もありました。
小泉大臣は「全く手を緩める気はない」「できることは何でもやる」と述べ、米価高騰への対応に強い姿勢を示しています。
備蓄米の追加放出を発表する小泉進次郎農水大臣
現場からの懸念「品質面に不安」
一方で、今回放出される中でも特に古い令和2年産米、いわゆる「古古古古米」の品質について懸念の声も上がっています。創業70年の山形屋米店の佐藤純一専務は、この最も古い備蓄米の取り扱いを「見送る」と決断しました。
佐藤専務は、「品質面の不安の要素が強い」とし、味の保証ができない商品を販売することで顧客の信頼を失うことを懸念しています。「どうしても町のお米屋さん、小売店には一番古い備蓄米が回ってくる。残り物が回ってくるイメージがどうしても強い」とも指摘し、流通のあり方への不満も示唆しました。
今回、政府が5年前に収穫された備蓄米まで市場に放出するという異例の事態となりました。農水省は需給緩和と価格抑制に期待を寄せますが、品質への懸念から販売に踏み切れない小売店の存在も明らかになりました。この備蓄米放出が、果たしてコメの店頭価格にどこまで影響を与えるのか。今後の動向は未知数です。
参照: TBS NEWS DIG Powered by JNN (Yahoo!ニュース) https://news.yahoo.co.jp/articles/fc30d08d370e8a7d6fdf48545ab97a2ff1867bbf