トランプ氏、「くず」と州知事の名かけ挑発 LAデモ巡り、非難の応酬


【写真まとめ】LAの抗議デモの様子

 「カリフォルニアは最初かもしれないが、ここで終わらないことは明らかだ。次は別の州だ。民主主義は私たちの目の前で攻撃されている」

 ニューサム氏は10日夜に市民に向けた演説で、州兵と海兵隊の投入を命じたトランプ氏の決定を「権力の乱用」と呼ぶなど、強い言葉で批判した。米政治の基本原則である「チェック・アンド・バランス(抑制と均衡)はもはや存在しない」とも述べ、共和党優勢の連邦議会にも非難の矛先を向けた。ニューサム氏は、知事の要請のない州兵動員は違憲だと訴え、差し止めを求めて連邦裁判所に提訴している。

 一方、トランプ氏は「くず」を意味する「スカム」と知事の名前をかけて「ニュースカム」と呼んで挑発。移民捜査当局を妨害したとしてニューサム氏が逮捕されれば「素晴らしいことになると思う」とも述べた。ワシントン・ポストなどによれば、トランプ政権は連邦政府からカリフォルニア州への交付金引き揚げも検討しているという。トランプ氏はロサンゼルスの抗議デモの参加者を「動物」と呼ぶなど発言をエスカレートさせ、現地に派遣した海兵隊の権限を強める「反乱法」の発動も否定しない。

 一方、2028年の大統領選で民主党の有力候補に名前が挙がるニューサム氏にとっては、全米規模で知名度を高める機会にもなっている。ワシントン・ポストによると、ニューサム氏のTikTok(ティックトック)アカウントのフォロワーはこの数日で1・5倍に増えた。

 トランプ氏とは1月にロサンゼルス近郊で起きた山火事対応や関税政策を巡っても対立したが、オンラインを中心とした今回の「空中戦」は、ニューサム氏が若者世代に浸透するきっかけとなる可能性があると同紙は伝える。

 ニューサム氏は現在2期目。政治メディアのポリティコによると、26年のカリフォルニア州知事選には民主党のハリス前副大統領が立候補を検討しているという。【ニューヨーク八田浩輔】



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