俳優の吉沢亮が、その評価を再び大きく高めている。主演映画『国宝』が2025年6月6日の公開前から国内外で絶賛されており、彼の新たな代表作となる可能性が高いと業界内外で話題沸騰中だ。さらに、今秋放送開始予定のNHK朝の連続テレビ小説『ばけばけ』への出演決定も、彼の俳優としてのさらなる飛躍に繋がると指摘されている。かつて泥酔によるスキャンダルで批判を浴びた時期もあったが、真摯な謝罪と、その後仕事で確かな結果を示したことで、俳優人生における輝かしい「第2章」が幕を開けようとしている気配が濃厚だ。
主演映画『国宝』で評価急上昇中の俳優・吉沢亮
主演映画『国宝』への絶賛と評価
映画『国宝』は、芥川賞作家である吉田修一氏の最高傑作とも称される同名小説を実写化した作品である。物語は、任侠の一門に生まれながらも幼くして天涯孤独となった主人公・喜久雄(吉沢亮)が、歌舞伎役者の家に引き取られ、女形として芸の道に人生を捧げる壮絶な生き様を描く。上方歌舞伎の名門当主である花井半二郎(渡辺謙)にその天賦の才能を見出された喜久雄は、半二郎の跡取り息子である俊介(横浜流星)と兄弟同然に育つが、喜久雄の才能が彼らの運命を狂わせていくというストーリーが展開される。
同作は、第77回カンヌ国際映画祭の「監督週間」部門に選出され、現地時間5月18日に行われた公式上映では、上映終了後に集まった800人以上の観客から約6分間にわたるスタンディングオベーションが巻き起こった。吉沢亮らは割れんばかりの拍手と熱狂的な歓声に包まれ、歌舞伎の大向うさながらに「KIKUO!」と主人公の名前を叫ぶ声まで上がったという。
この国際的な高評価の最大の要因となっているのが、吉沢亮と横浜流星の両名が約1年半という長期間をかけて歌舞伎の厳しい稽古に励み、吹き替えなしで完璧な女形としての演技を披露したことだ。劇中では「二人藤娘」「二人道成寺」「曽根崎心中」といった難易度の高い演目に挑戦しているが、そのクオリティはプロの目から見ても非常に高く、歌舞伎指導を担当した歌舞伎俳優の中村鴈治郎は「ラッシュ版で吉沢さんたちの歌舞伎のシーンを見た時、とても感動した」と惜しみない賛辞を送っている。
業界内でも本作に対する期待は非常に高く、「マスコミ向け試写会を見た人たちが皆揃って絶賛している」「女形を演じきった吉沢亮の演技力とビジュアルが圧倒的」「日本アカデミー賞の最有力候補になるのは間違いない」といった声が多く上がっている状況だ。
これまでの輝かしいキャリアと転換点
吉沢亮は、2017年の映画『銀魂』で沖田総悟役を演じたことで広く注目を集め、その後も同じコミック原作の『斉木楠雄のΨ難』、『リバーズ・エッジ』、『ママレード・ボーイ』など話題の映画に立て続けに出演し、ブレイクを果たした。さらに、2019年にはNHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』で、広瀬すずが演じるヒロインの相手役を務めたことで、その認知度を幅広い世代にまで広げた。
大ヒット映画シリーズ『キングダム』では、秦王・嬴政と漂の一人二役を見事に演じ分け、その演技力が高く評価された。そして、2021年には日本の近代経済の父とされる渋沢栄一を演じたNHK大河ドラマ『青天を衝け』で主演を務めるなど、順調に日本のトップ俳優への道を力強く歩んでいた。しかし、そんなキャリアの絶頂期に予期せぬトラブルが発生する。
「泥酔スキャンダル」とその影響、そして対応
2023年12月、吉沢亮は泥酔した状態で自身の自宅マンションの隣室に無断で立ち入ったとして、警察から書類送検されるという騒ぎを起こした。この騒動により、当時CMキャラクターを務めていたアサヒビールは契約を解除し、彼の主演映画の一部が公開延期となるなどの影響が出た。それまで「好青年」として知られていたイメージとはかけ離れた不祥事として、世間からも大きな批判が寄せられたことは記憶に新しい。
俳優としての今後の活動を危ぶむ声すら聞かれたが、吉沢の所属事務所は騒動発生後、「隣室の方には大変ご迷惑をおかけしてしまったため、すでに当社および本人からお詫びをさせていただいております」「なお、すでに吉沢はマンションを退去しております」と、被害を受けた隣人への謝罪と状況への対応について速やかに報告した。その後も「ご迷惑をおかけした隣室の方との間で、このたび示談が成立し、ご宥恕いただいたことを報告させていただきます」と、示談成立に至った経緯を詳細に発表し、対応の誠実さを示すことに努めた。
スキャンダルを乗り越えた次なる飛躍への期待
泥酔スキャンダルというキャリア上の大きな危機に直面しながらも、吉沢亮は迅速かつ真摯な対応を見せた。そして何よりも、俳優として本業である仕事で結果を出し続けていることが、彼の評価を再構築し、さらなる飛躍へと繋がっている。主演映画『国宝』での圧巻の演技と国内外での絶賛、そして国民的な注目を集めるNHK朝ドラ『ばけばけ』への出演は、彼が困難を乗り越え、俳優として一層の深みと信頼を得た証と言えるだろう。スキャンダルを真摯に受け止め、それを糧に仕事への姿勢を一層強固にした彼の姿は、まさに「俳優人生の第2章」を力強く歩み始めたことを示唆している。吉沢亮の今後の活動からますます目が離せない。
参考資料:
https://news.yahoo.co.jp/articles/d8204f37194bc3383c47c7545c8b90619a8a7d9b