立憲・野田代表に「腰砕け」批判噴出 国会閉幕迫る中、不信任案提出に二の足を踏む裏事情

通常国会の閉幕が間近に迫る中、立憲民主党の野田佳彦代表の慎重な姿勢が注目を集めています。政権への対決姿勢を示す機会である内閣不信任決議案の提出について、野田代表が躊躇していることに対し、党内から批判の声が上がっています。

立憲民主党の野田佳彦代表、通常国会閉幕を前にした政治的な場面で立憲民主党の野田佳彦代表、通常国会閉幕を前にした政治的な場面で

内閣不信任案提出への躊躇とその背景

立憲民主党の関係者によると、6月の都議選、7月の参院選を控えたこの時期は、本来であれば与野党の対決ムードが高まるのが常であり、野党は会期末に内閣不信任決議案を提出するのが慣例です。しかし、野田代表はこれに二の足を踏んでいる現状があるといいます。

その象徴的な事例として、5月26日付の産経新聞の単独インタビューが挙げられています。野田代表は、トランプ関税を巡る日米交渉について、「国益を懸けた交渉をしている時に『不信任案を出します』と言って足を引っ張っていいのか」と語りました。この発言に対し、党内からは「参院選前にあり得ない」「政権を取りにいく気概がない」といった厳しい批判が噴出しています。

「選挙に勝てない」という現実的な懸念

野田代表が内閣不信任案提出に慎重な姿勢を見せる背景には、現実的な選挙への懸念があるようです。衆議院は少数与党であるため、野党が協力すれば不信任案は可決される可能性があります。もし可決されれば、石破茂首相は10日以内の退陣か、衆院解散による衆参同日選に打って出る選択を迫られます。

関係者によると、野田代表は、このタイミングで衆議院が解散され総選挙が行われた場合、野党側の選挙準備が十分に間に合わず、勝利は難しいと考えているといいます。要するに、選挙に勝つ自信がないため、安易に勝負に出られないという判断があるようです。

野田氏が最も恐れる「玉木首相」の誕生

一方で、別の見方を示す政治部デスクもいます。このデスクによると、野田代表が衆院解散よりも恐れているのは、国民民主党の玉木雄一郎代表が首相となるシナリオだといいます。内閣不信任案が可決されて石破首相が退陣した場合、自民党は自社さ政権時代の村山富市首相(社会党)のケースと同様に、「非自民」である玉木氏を首相に担ぎ、自公国連立政権を樹立して参院選に臨む可能性が高いと分析しています。

このシナリオが実現した場合、自民、公明、国民民主の3党は、参議院の改選44議席を獲得すれば過半数を維持できることになります。これはそれほど高くないハードルであるため、選挙後も衆参両院で安定した政権が続く可能性があり、立憲民主党は「万年野党」の状態から抜け出せなくなるという危機感が、野田代表にはあるというのです。

国民・玉木氏の戦略と立憲・野田氏の確執

しかし、肝心の玉木代表は、参院選前の与党入りには消極的であるとも伝えられています。国民民主党の関係者によると、玉木代表はSNSなどを駆使して参院選での党勢拡大を目指し、その存在感を高めた上で連立入りしたいとの考えを持っているようです。ただ、過去の不倫疑惑が尾を引く山尾志桜里氏の復党問題や、備蓄米を「動物のエサ」と表現した発言などが党勢に陰りをもたらしているという指摘もあり、「首相になれるうちに」と翻意する可能性も否定できません。

こうした状況について、立憲民主党のベテラン議員は、野田代表が根っからの増税派であり、減税派である玉木氏を「大嫌い」だと明かしています。最近も周囲に対し、「玉木首相だけは絶対に阻止する」と話しているといい、個人的な感情も複雑な政局に影響を与えている様子がうかがえます。

結び

通常国会の閉幕が迫る中、立憲民主党の野田佳彦代表は、内閣不信任決議案の提出を巡り、極めて難しい政治判断を迫られています。夏の参院選を見据えた戦略、党内の意見対立、そして国民民主党の玉木代表との複雑な関係性が絡み合い、今後の野党共闘や政界全体の動きに大きな影響を与えることは必至です。各党の駆け引きと選挙に向けた準備の行方が注目されます。

参考文献

  • 産経新聞 単独インタビュー(2025年5月26日付)
  • 立憲民主党関係者の証言
  • 政治部デスクの分析
  • 国民民主党関係者の証言
  • 立憲民主党ベテラン議員の証言