元横綱・白鵬翔氏（以下、白鵬氏）が6月9日に行った記者会見は、「あまり衝撃のない内容」として多くの人々に拍子抜け感を与えました。わずか43分という短い時間で語られたことだけでは、白鵬氏の新たな事業の全貌やその裏にある思惑を完全に理解することは難しい状況です。相撲協会を円満に退職したとされる白鵬氏の、表には出ていない真意はどこにあるのでしょうか。
白鵬氏の退職、予想された未来と会見での語り
白鵬氏の今後の方向性について、会見前には主に二つの可能性が予想されていました。一つはアマチュア相撲の普及振興を通じた社会貢献、そしてもう一つは世界規模でのビッグ・ビジネス展開です。
記者は、後者の可能性が高いのではないかと予測していました。その理由として、仮に社会貢献的な相撲普及だけであれば、あと数カ月で復活の可能性もあった宮城野部屋の師匠という立場を捨ててまで、日本相撲協会を退職する必要はなかったはずだと考えられるからです。協会所属の親方という立場でも、社会貢献活動は十分に可能だからです。
しかし、今回の記者会見で白鵬氏が強く語ったのは社会貢献への意欲であり、ビッグ・ビジネスへの明確な野心はほとんど語られませんでした。
会見内容の深層：「世界SUMOグランドスラム構想」の意味
今回の白鵬氏の会見での発言を、そのまま額面通りに受け止めて良いのかという疑問も残ります。今後の具体的な事業展開プランについては「会社の登記がまだ終わっていない。具体的な事業展開のプランはこれから」という説明に留まりました。しかし、「世界SUMOグランドスラム構想」という言葉で今後の夢を語ったことは注目に値します。
元横綱・白鵬翔氏、新事業設立会見で質疑応答に応じる様子
会見全体の空気感は、この事業が「アマチュア相撲の世界的普及を目指す取り組み」であると多くの人に理解されたようです。実際、9日夜の中日スポーツは、「今後はトヨタ自動車の豊田章男会長らの支援を受け、アマチュア相撲を世界に広める新会社を設立し、『世界相撲グランドスラム構想』として推進していく」と報じました。これは、記者会見を見た大多数の人々が抱いた現状の白鵬氏に対する認識と一致しています。
ビジネス的な野心や具体的な展望について深く掘り下げる記者が少なかったこともあり、会見での話題は社会貢献やアマチュア相撲の普及という側面に終始した形となりました。
会見から読み取れることと残された疑問
白鵬氏の記者会見は、表面上はアマチュア相撲の普及を通じた社会貢献を前面に出す形で行われました。しかし、相撲協会を退職してまで行う事業の真のスケールや、将来的にどのようなビジネスに発展させていくのかといった点については、依然として多くの疑問が残されています。今回の会見は、その全貌の「序章」に過ぎない可能性も否定できません。今後、さらに衝撃的な発表があるのかどうかが注目されます。
