山尾志桜里氏、国民民主党に反撃の離党届提出 都議選直前に「シン・山尾ショック」広がる

山尾志桜里元衆院議員(50)が、参院選比例代表の公認見送り判断を下した国民民主党に対し「反撃」に転じ、党の統治能力に「深刻な疑問」を呈する長文コメントを12日に発表した。「正直驚いた」という決定を受け、離党届も提出。国民民主党との関係は事実上決裂した。山尾氏に出馬を打診した玉木雄一郎代表は謝罪したが、東京都議選(13日告示)前日のこの混乱は「シン・山尾ショック」と呼ばれ、玉木氏らの責任論が今後さらに強まる可能性が出てきた。

国民民主党からの参院選出馬会見を行った山尾志桜里元衆院議員(2025年6月10日)国民民主党からの参院選出馬会見を行った山尾志桜里元衆院議員(2025年6月10日)

参院選公認見送り決定への山尾氏の反論

出馬会見の翌日に公認見送りという異例の展開が起きたが、そのさらに翌日には山尾氏による異例の「反撃」声明が出された。山尾氏は声明の中で、11日の両院議員総会での公認見送り決定を「性急な結論」であり「正直驚きました」と表現。さらに、「明らかに執行部主導で要請を受け擁立頂いたにも関わらず、執行部の責任で判断せず両院議員総会での決定という形をとる点にもかなり違和感があった」と、党の意思決定プロセスを強く批判した。

不倫疑惑に関する説明と党への疑問

公認見送りの一因には、過去の不倫疑惑に関する10日の会見での説明が不十分だった点が挙げられているが、山尾氏はこれに対し「今回問題とされた事柄は、全て公認時に周知されていた」と主張した。また、「党から正式な公認内定を受けても党の都合で排除されてしまう政党では、志ある方も今後立候補の決断にちゅうちょしてしまうのではないか」と述べ、党の対応が将来の候補者擁立に悪影響を与える可能性について疑問を投げかけた。

会見時期と真摯な対応の主張

出馬会見が公認発表から約1カ月遅れたことについても、山尾氏は党の判断によるものだと暴露した。会見については「すべての人の納得を得ることはできないだろうと予測はしていた」としつつも、「質問が尽きるまで真摯(しんし)に対応し、今の自分の正直な言葉を届けた上で有権者の判断を仰ぎたいと考えて臨んだ」と説明。自身の対応に問題はなかったという姿勢を示唆した。

国民民主党との決別と政治活動の継続

山尾氏は最近都内に選挙事務所を設置したばかりだったこともあり、「はしごを外され、かなり怒っているようだ」(野党関係者)という状況が伝えられている。しかし、政治活動を再開する意思自体に変わりはないとされている。一方、国民民主党については「その統治能力には深刻な疑問を抱いており、今後は一線を画させて頂く」として離党届を提出。事実上の決別を宣言した。

山尾志桜里氏の公認見送りについて報道陣に説明する国民民主党の玉木雄一郎代表山尾志桜里氏の公認見送りについて報道陣に説明する国民民主党の玉木雄一郎代表

都議選直前の混乱と玉木代表への影響

山尾氏に立候補を打診したのは、盟友的な関係にあった玉木代表だった。しかし、山尾氏擁立論が表面化するとともに党の支持率が下落に転じ、これは「山尾ショック」と呼ばれた経緯がある。玉木氏は11日、「(候補者の)選定プロセスをあらためて見直す」と述べるにとどまっていたが、その直後、都議選告示前日という最悪のタイミングで山尾氏の「反撃」が重なった形だ。都政関係者は「山尾氏の会見も公認見送り決定も、都議選や参院選に影響しない日程を意識したはず。このタイミングでの党批判は想定外だったのでは」と推測する。

都議選への注力と今後の責任論

13日に告示される東京都議選は、各党が国政選挙並みの体制で臨む重要な選挙だ。国民民主党も悲願の都議会での議席獲得と党勢拡大に向けて、初日から玉木代表や榛葉賀津也幹事長ら党幹部が街頭演説を予定するなど、参院選と同様に重視している。そのまさに直前に「シン・山尾ショック」が表面化してしまった。玉木氏は自身の責任について「しっかり説明したい」としているが、都議選の結果次第では、改めてその責任論が再燃する可能性は高い。今回の混乱は、国民民主党の選挙戦略および党内の結束に大きな影を落とすことになりそうだ。

Source: https://news.yahoo.co.jp/articles/5901d26be89e31d4442a6d175d4d336eea2cf319