浪人という選択を取る人が20年前と比べて1/2になっている現在。「浪人してでもこういう大学に行きたい」という人が減っている中で、浪人はどう人を変えるのでしょうか? また、浪人したことによってどんなことが起こるのでしょうか? 自身も9年の浪人生活を経て早稲田大学に合格した経験のある濱井正吾氏が、いろんな浪人経験者にインタビューをし、その道を選んでよかったことや頑張れた理由などを追求していきます。
現役当時の絶望的な模試結果!4浪、5浪…と徐々に上がっていく成績をみる
今回は高槻高等学校から5浪して京都府立医科大学医学部に進んだIさんにお話を伺いました。
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■「浪人しても受からないかも…」から5浪で医学部合格
今回お話をお聞きしたIさんは、5浪して京都府立医科大学医学部に合格した方です。
医師家系に生まれ、自然に医者を目指そうと思ったIさんは、担任の先生に「成績からすると2浪は絶対する」と言われます。それでも浪人すれば成績が上がり、医学部に行けると信じて勉強したIさん。
しかし、2浪しても医学部には到底届かない成績に終わり、「何浪しても受からないかも」と思って途方に暮れる日々を送りました。
それでも彼は、何浪してでも医学部に入ることを目指し、勉強を続けたのです。
どうして彼は絶望的な状況の中でも浪人を続けたのか。彼の浪人生活を支えたのはなんだったのか。お話を伺いました。
Iさんは大阪府に生まれ育ちました。父や親戚など、親族に医者が多い家系だったそうです。
「中学生のころには自然と医師にならないといけないと考え始めました。父親に『医学部に行け』と直接言われたことはないんですが、『どうせ行くやろ』みたいな無言の圧力は感じることがありましたね。それを受けて、『(医学部に)行かなあかんのかなぁ』とは中学時代から思っていました」
幼稚園のときからKUMONで勉強をしていたこともあり、公立小学校時代は勉強ができるほうだったIさん。
小4のときには中学受験をするために難関校への合格を目指す学習塾である馬渕教室で勉強を始め、大阪星光学院を目指したものの、成績判定が振るわなかったため受験せず、高槻中学校・高等学校に合格し、そちらに進学を決めました。
しかし、中学受験で燃え尽きてしまったIさんは、中1のときに数学の塾に通い始めるも、勉強するのが嫌でやめてしまいました。