<叡王戦5番勝負>◇第5局◇14日◇千葉・柏の葉カンファレンスセンター
伊藤匠叡王(22)が斎藤慎太郎八段(32)の挑戦を受ける、将棋の第10期叡王戦5番勝負最終第5局が14日、千葉県柏市「柏の葉カンファレンスセンター」で始まった。午前10時から始まった対局は、各4時間の持ち時間を使い果たして双方1手60秒未満での指し手が要求される「1分将棋」の接戦となった。午後7時38分、120手で後手の伊藤がこれを制した。同学年の藤井聡太8冠(当時)を崩して初めてタイトルを獲得した前期に続き、対戦成績3勝2敗で今期は初防衛を果たした。斎藤の初の叡王獲得はならなかった。
「何か決める手があったかもしれない」と斎藤はつぶやいた。2018年(平30)の王座獲得以来、7年ぶりのタイトルが遠のいた。中盤の難所、「決断が鈍った」と振り返る。敵陣の7筋に飛車を打ち込み、優勢を意識した。「厳密には少し指せているつもりだった。嫌なところは残っている感じで、良さそうだけど、展望は見えていなかったです」。
あやふやなままもつれ込んだ終盤、「何か勝ちはありそうだった」。6筋に香を打たれる手が見えていなかったのを悔やんだ。
21、22年と連続して名人戦挑戦者になって以来のタイトル戦。「5局とも難しい将棋だった。最後、終盤で勝ちきれなかった。大事なところで決めきれなかった。良い面もあったとは思うんですけど、終盤のミスが思い浮かぶのが反省点です」と残念そうだった。