6月16日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)にて、レギュラーコメンテーターの玉川徹氏が、政府の現金給付公約に関する議論中にテレビ朝日政治部官邸キャップの千々岩森生氏に対し激しい口調で反論し、スタジオに緊迫感が走る一幕があった。このやり取りはSNS上で「パワハラではないか」との指摘も相次ぎ、波紋を広げている。
政府の現金給付策と石破首相の姿勢
番組で取り上げられたのは、参院選を前に政府が打ち出した「全国民への2万円給付、すべての子どもと住民税非課税世帯の大人にはひとり2万円を上乗せ」という公約についてだった。石破茂首相は、国会答弁では現金給付を検討していないと述べていたにも関わらず、野党が消費税減税などの経済対策を表明する動きを見せたことから、自民・公明の与党の意向を受けて給付を決定した経緯がある。
玉川氏と政治部員のやり取り
千々岩氏は、この政府の決定プロセスを説明。これに対し玉川氏は、党首討論で現金給付を否定しながら方針転換した石破首相の姿勢を問題視。「(現金給付を)考えているんだったら、考えていると言わないといけない。そうじゃないと、『私たちは、あなたの言うことを信じられませんよ』となる」と厳しく指摘した。
千々岩氏はこれに「玉川さんのおっしゃるとおり、という部分と、政府の政策は決まるまで言えない、という部分もたしかにあるんですよね。今回、政府としては、党としてはさんざん検討しているけれども、相当無理筋な説明を党首討論ではしたというところです」と応じた。
モーニングショー生放送中、政府の現金給付に関する議論で政治部員に激高するコメンテーター玉川徹氏
「マスコミは権力のチェック機関」玉川氏の信念
この千々岩氏の発言に対し、玉川氏は「政治部たちが、それを認めちゃダメなんだよ!」「百も承知だったら、そんなこと言わないほうがいい」と一喝。玉川氏はマスコミは権力をチェックする役割を担うべきだという強い信念を持っており、千々岩氏の回答がその考えに沿わないと感じたことが激しい口調になった背景にあると見られる。
スタジオに響いた怒号、緊迫した現場
玉川氏のあまりに激しい言い方によって、スタジオは約10秒間静まり返り、誰も言葉を発せない緊迫した状況になった。まるで放送事故のような雰囲気となり、普段は玉川氏の発言を巧みにコントロールする羽鳥慎一アナウンサーもあっけにとられ、千々岩氏の困惑した顔を見て「(進行して)いいですか?」と尋ねるのがやっとだったという。
玉川氏と千々岩氏の経歴と関係
玉川氏は京都大学卒業後、テレビ朝日に入社。一貫して報道畑を歩み、2023年7月に定年退職した後も『モーニングショー』のコメンテーターを務めている。一方、千々岩氏もテレビ朝日入社後に報道局に配属され、中国総局長などを歴任した同局のエース的存在であり、日曜夜の『有働Times』でもコメンテーターを務めることがある。つまり、玉川氏と千々岩氏はテレビ朝日の先輩・後輩という関係にあたる。
SNSで拡散する「パワハラ」指摘
今回の玉川氏の怒号について、X(旧Twitter)上では視聴者から「公開パワハラではないか」「テレ朝OBによる不愉快なパワハラ」「これがパワハラ以外の何になるのか」といった「パワハラ」という言葉を含む投稿が多く見られ、騒動の余波が収まっていない。
騒動の余波と今後の注目
翌17日の放送で、玉川氏がこの件について言及することはなかった。しかし、今回の生放送での一喝は、マスコミの役割や政権批判のあり方、そして組織内の上下関係における発言の適切さなど、様々な側面から議論を呼んでおり、今後も視聴者や世間の注目を集め続ける可能性が高い。