フジテレビが、港浩一前社長(73)と大多亮元専務(66)に対し訴訟の準備に入ったと発表しました。これは、元タレントの中居正広氏に端を発する一連の問題に関連し、旧経営陣の法的責任を追及する姿勢を明確にしたものです。同局は「中居問題」の影響で放送収入が大幅に低下しており、その被害への言及とともに、変革への強い意志を示しています。
訴訟の背景と清水社長の発言
今月5日、フジテレビ本社での記者会見で、清水賢治社長(64)が港前社長と大多元専務に対する訴訟準備を発表しました。これは、中居正広氏と元女性アナウンサー間のトラブルに起因する問題を巡り、旧経営陣の責任を問うものです。清水社長は、質疑応答で「フジテレビに放送収入の大幅な低下があり、被害が生じている」と述べ、現状の厳しさを訴えました。
訴訟準備に入ったと発表されたフジテレビの港浩一前社長
業績不振と他局との対比
昨年度、フジテレビの親会社であるフジ・メディア・ホールディングス(フジHD)を除く在京民放キー局4社が過去最高の連結決算を記録する中、フジテレビは前年度比2.8%減収でした。放送記者は、日テレ、TBS、テレ朝、テレ東が放送収入を伸ばす中でのフジの減収は、中居問題発覚後のCM停止の影響が大きいと指摘しています。TBS社長も、フジへのCM出稿停止の影響が「結構あると思う」と説明しています。
広告主の動向と「旧体制との決別」
中居問題後、特に大手企業を中心に約7割のスポンサーが現在もCMを見合わせたままです。政府は最近、フジテレビへの政府広報CM出稿を認める方針を示す一方、経団連などに属する企業の多くは依然として静観の構えです。フジテレビにとって大手企業のCM再開は重要課題であり、今回の旧経営陣に対する訴訟は、「旧体制との決別」を国内外に明確に示す狙いがあると考えられています。
港氏、大多氏にとっての「寝耳に水」
一方、訴訟準備の発表は、港氏と大多氏にとっては「寝耳に水」だったとみられています。改革をアピールしたいフジテレビ側の意図は明確ですが、この訴訟が両氏を待ち受ける前途は多難である可能性も指摘されています。
今回のフジテレビによる旧経営陣への訴訟準備は、「中居問題」に端を発する経営悪化からの脱却と、新たな体制への移行を内外に示す重要な一歩です。業績回復と信頼回復を目指す同局にとって、この法廷闘争の行方は注目されます。