国民民主党、支持率急落の背景 玉木代表と山尾氏の問題?

首相候補の一人とも目された国民民主党の玉木雄一郎代表(56)が率いる党の支持率が急落している。昨年10月の衆議院選挙では、7議席から28議席へと4倍増を達成した。比例区の候補者不足により、当選できたはずの3議席を他党に譲るほどの勢いだった。一時は野党でトップの政党支持率を誇ったが、最近の世論調査では立憲民主党にその座を奪われている。一体、何が背景にあるのだろうか。

国民民主党はそれまで1~2%に過ぎなかった支持率を、昨年の衆院選でSNSを駆使して大きく伸ばした。「手取りを増やす。」をスローガンに、玉木代表と榛葉賀津也幹事長が出演する多数の動画を投稿。街頭演説の様子は「著作権フリー」とし、聴衆による切り抜き動画の拡散を呼びかけ、それがバズった。玉木代表は選挙後、「ネットドブ板が得票につながった」と振り返り、SNS戦略について「国民民主党のような小さな政党は地上波テレビや新聞で取り上げられる機会が少なくなる」と語っていた。玉木代表の公式YouTubeチャンネル「たまきチャンネル」は現在も登録者数57.5万人と政治家の中では突出している。

国民民主党の玉木雄一郎代表と山尾志桜里元議員国民民主党の玉木雄一郎代表と山尾志桜里元議員

急落の転換点:山尾志桜里氏の公認問題

国民民主党と玉木代表の人気が急落した背景について、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は、元衆議院議員の山尾志桜里氏(50)を7月の参院選公認候補にするかどうかで党内が揺れた時期と重なると指摘する。読売新聞の世論調査を例に見ると、今年1月には13%あった支持率は、山尾氏の名前が挙がった4月22日頃には11%に減少し、正式に公認候補と発表した5月には10%、最終的に公認見送りが発表された6月には7%まで落ち込んでいる。

ネット上の反応と「裏切り」感情

井上氏は、最近のネット世論は「裏切られた」とか「嘘をつかれた」といったことに対し、非常に潔癖になっていると分析する。山尾氏の公認が報じられた際、「不倫疑惑などが報じられた人物を候補者にするのか」といった批判的な声がネット上で起こった。結局、国民民主党は山尾氏の公認を取り消したが、この過程でネット上では叩かれる対象となってしまった。井上氏によれば、熱心に支持していた人々からは「裏切られた」という感情が巻き起こり、それは「推しメンに彼女がいた」といった感覚に近いという。これに乗じた野次馬的な層からの激しい非難が加わり、それを見た支持者が「やはり信用できない」と感じるという負のスパイラルが発生した。

過去に「美魔女」とも呼ばれた山尾志桜里元議員の写真過去に「美魔女」とも呼ばれた山尾志桜里元議員の写真

玉木代表自身の問題との関連

興味深いのは、玉木代表自身も昨年11月に不倫報道を受け、3カ月の役職停止処分となっているが、当時の支持率への直接的なダメージはそれほど大きくなかった点だ。井上氏によると、玉木代表が会見で報道を認めて謝罪したことで、その時点では一旦収束したはずだった。しかし、山尾氏の公認問題が持ち上がったことで、玉木代表自身の過去の問題がネット上で「蒸し返され」、支持者から「自分も不倫したくせに山尾を切るのか」「本当にガッカリです」といった批判的な投稿が相次いだ。

結論:諸刃の剣となったSNS

その結果、支持率が急落したと井上氏は見ている。つまり、国民民主党が前回の選挙で最大の武器とし、得票増に繋げたSNSが、今度は党や代表自身に牙を剥き、支持率低下の要因となったと言えるだろう。SNSを巧みに活用して支持を広げた国民民主党だが、その「ネット世論」の厳しさと変動の速さという両面を突きつけられた形だ。

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