北朝鮮がイランを空襲したイスラエルに向けて「中東平和の癌」「世界平和・安全破壊の主犯」と公開的に批判した。伝統的友邦のイランをかばうものとみられるが、不法核開発国の北朝鮮もいつでもイランと似た状況になりかねないという不安感が反映された反応という分析が出ている。
◆「戦争を煽る」…北朝鮮が初めて公式反応
北朝鮮外務省は19日、イスラエルのイラン空襲について「主権国の自主権と領土完整を無惨に踏みにじる極悪な侵略行為であり反倫理的犯罪」とし、このように明らかにした。北朝鮮外務省は「米国と西側勢力」に向けても「戦争を煽る」と非難した。13日(現地時間)にイスラエルがイランを空襲して以降、北朝鮮当局レベルで公式反応が出てきたのは初めてだ。
韓国統一部の当局者は「北がイスラエルを激しく非難した半面、米国には非難の程度を調節したのが目を引く」と分析した。
イスラエルが前面に出した空襲の対外的名分が「イランの核開発阻止」であるだけに、激化する中東事態を北朝鮮も注視しているという見方が出ている。今回の事態は事実上、米国との事前協議なくイスラエルの突発行動で触発した。しかしイランが対応なく攻撃を受ける姿と国内政治の反応を見守りながらトランプ米大統領も軍事介入側に傾いているというのが海外メディアの分析だ。
米ニューヨークタイムズ(NYT)は17日、「トランプ大統領は就任直後にはイスラエルの空襲を引き止めたが、武力衝突が続く中、米軍の投入により前向きな態度を見せている」とし「進展のないイラン核交渉に対する忍耐心が消えた状態」と伝えた。
批判を受けたものの「イスラエルがみんなのために汚いこと(dirty work)をした」というメルツ独首相の発言は、イランの核能力増強を防ぐというイスラエルの空襲の背景自体に対しては西側陣営でも共感が一部形成されたという傍証という分析も出ている。
◆交渉局面が一転して戦争へ
これは「事実上の核保有国」地位認定を狙ってトランプ大統領との談判再開を見計らう金正恩委員長にとって、核交渉の敷居がさらに高まったことを意味する。トランプ大統領はすでにイラン核施設に対する攻撃計画を承認し、最終決定は「1秒前にする」として保留した状態だ。
2019年2月のハノイ朝米首脳会談当時にはトランプ大統領が交渉の場を出て行くレベルだったが、今では交渉局面を壊すのにとどまらず、核施設打撃も現実的なオプションとして検討しているということだ。イスラエルの奇襲空襲当時、米国とイランは2日後にオマーンの仲裁による6回目の核交渉を控えていた。交渉局面が一転して戦争に飛び火する可能性を見せたのだ。
特にトランプ大統領がイランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師を狙って「所在を正確に把握している」(17日)と警告したり、イスラエルがイランの核科学者を標的暗殺したりした事件は、北朝鮮の立場でも決して軽視できない脅威だ。
梨花女子大の朴元坤(パク・ウォンゴン)北朝鮮学科教授は「金正恩委員長はイランを見ながら、トランプ大統領が北に向けて『炎と怒り』に言及し、空母3隻を動員して圧力を加えた2017年を思い出したはず」と述べた。続いて「トランプ大統領が中東事態を一段落させれば視線を北に向けるため、イランの核問題をどう解決するのかが北核問題解決の直接的な準拠となるだろう」と話した。