和歌山市の芦原地区連合自治会長、金井克諭暉(よしゆき)(本名・金正則)容疑者(63)が市発注事業の落札業者から「地元協力金」名目で現金を詐取していた詐欺事件で、和歌山県は29日、県発注事業でも同様の事例がないか調査した結果、平成26年度以降、10事業者が金井容疑者に寄付していたと発表した。1回あたりの寄付額は最大30万円だった。
芦原地区周辺の県発注事業に関与した県職員36人と25事業者を対象に聞き取り調査した。その結果、26年度以降の工事など31件中、22件で職員と事業者が一緒に、金井容疑者をあいさつに訪れていた。
10事業者が寄付名目で金井容疑者に現金を寄付しており、額は、30万円が2事業者▽5万円以下が7事業者▽未回答が1事業者-だった。
4事業者は自ら寄付し、他の事業者は金井容疑者から口頭または文書で求められて寄付していた。
県によると、当時は不当な要求と受け止めていなかった事業者がいる一方、不当な要求と感じて応じなかった事業者もいたという。
不当な要求について、県職員が事業者から相談を受けたことはなく、事業者に対する金井容疑者の不当な要求を知る県職員もいなかったとしている。
県庁で会見した高松諭・県土整備部長は「不適切な対応を行った職員はなかったと認識している」と述べた。
ただ、和歌山市では市職員が事業者と一緒に金井容疑者を訪れていたことが詐欺事件を誘発した可能性もあるとみて、県は今後、自治会などへの説明には事業者を同行させないよう関係部署に通知した。
また不当要求の相談窓口を各振興局建設部に設置。事業者に対しても、県発注事業に絡む金品の提供をしないよう指導し、違反した場合は県発注事業の次回入札で工事成績を減点し、入札条件を不利にする措置も検討するとしている。