今年の日本の夏は、平年よりも早く到来する見込みです。多くの地域で梅雨明けが大幅に早まり、その後は記録的な猛暑と少雨の傾向が予想されています。このため、熱中症や水不足が懸念される一方、気象条件によっては局地的な大雨のリスクも高まる可能性があります。今年の夏は例年以上に早期かつ万全な対策が求められます。
日本列島付近の天気図:梅雨前線と太平洋高気圧の様子
各地で平年より大幅に早い梅雨明けへ
現在、梅雨前線は25日頃にかけて本州付近に停滞する予報です。九州から東北にかけて雨雲がかかり、時には雨脚が強まることもありそうです。しかし、次の週末には夏の太平洋高気圧の勢力が強まる見込みで、日本列島は広く晴天となり、猛暑が戻ってくるでしょう。例年であれば7月中旬まで梅雨の時期が続きますが、今年は梅雨前線が再び活発化する日は少ないと予想されています。日本気象協会が19日に発表した梅雨明け予想では、九州から東北の多くの地方で、平年よりかなり早い7月上旬に梅雨明けとなる見込みです。
各地の梅雨明け予想時期を示す日本地図
記録的猛暑と水不足への厳重な備え
たとえ梅雨明けの発表がなくても、この先1か月は気候的にほぼ夏本番となります。今年は例年よりも早くから連日猛暑が予想されており、熱中症への対策を早期から徹底する必要があります。室内では適切にエアコンを使用するなど、万全の準備が不可欠です。また、梅雨の期間中に十分な雨が降らない地域では、水不足の懸念が生じています。今後の長期予報でも少雨傾向が示唆されており、今のうちから家庭や地域で節水を心がけることが重要です。
夏の到来早まる理由と、少雨でも油断できない大雨リスク
夏の到来が例年より早い背景には、小笠原諸島近海からフィリピンの東にかけての海域で積乱雲が発生しやすい気象条件があります。このエリアで積乱雲が活発化すると、その周辺で空気が上昇する一方、日本付近では下降気流が生じ空気が圧縮されます。これが太平洋高気圧の強化を促し、夏の気圧配置を早めていると考えられます。この海域では、今後2週間程度は積乱雲が発生しやすい状態が続き、7月上旬にかけて台風や熱帯低気圧が次々と発生する可能性も指摘されています。
現在、小笠原諸島近海ですでに発生している熱帯低気圧は、北上して明後日24日の午後にかけ関東付近に発達した雨雲をもたらす可能性があります。今後も新たな台風や熱帯低気圧が発生すれば、そこから供給される熱帯由来の暖かく湿った空気が日本付近に流れ込み、局地的に非常に激しい雨を降らせるリスクがあります。太平洋高気圧が一時的に弱まった際には、前線が南下して雨をもたらすことも考えられます。全体的には少雨傾向でも、予測が難しい局地的な大雨に対しては引き続き警戒が必要です。日頃から側溝の掃除をしておくなど、家の周りの水はけを良くしておくといった、大雨への備えも怠らないようにしましょう。
小笠原諸島近海における積乱雲や熱帯低気圧の状況
今年の夏は梅雨明けが早く、記録的な猛暑と少雨が予想される一方で、局地的な大雨のリスクも存在するという、気象変動の影響を受けた複雑な様相を呈しています。熱中症、水不足、そして突発的な大雨への備えを早期から多角的に行うことが、安全に夏を過ごすために極めて重要となります。
日本気象協会 本社 白石 圭子