アメリカがイランの核関連施設に対し実施した急襲作戦「真夜中の鉄槌（まよなかのてっつい）作戦」の詳細が明らかになりました。この作戦は、イランによるホルムズ海峡封鎖示唆やロシアの関与など、軍事大国間の報復合戦が現実味を帯びる緊迫した状況下で行われました。
米軍による作戦発表と「大成功」の主張
アメリカ統合参謀本部議長は、イラン時間22日午前2時すぎ、トランプ大統領の命令に基づき、イラン国内の3つの核関連施設に対し、「意図的で正確な攻撃」である「真夜中の鉄槌作戦」を実行したと発表しました。トランプ大統領は、このアメリカ史上初めてとなるイラン本土への攻撃直後、「今回の攻撃は軍事的に大成功でした」と世界に向けてその成果を強くアピールしました。
イラン攻撃の戦果を強調するトランプ米大統領
投入された高価な兵器と作戦内容
今回の作戦には、世界最高水準とされる米軍の兵器が多数投入されました。中でも注目されるのが、アメリカ本土から片道18時間飛行したB-2ステルス爆撃機です。この特徴的なフォルムのB-2は約3000億円と世界で最も高価な軍用機の一つとされ、高いステルス性を持ち「スピリット」と呼ばれます。米軍はこのB-2を「おとり」として使い、実際の攻撃方向とは逆の太平洋側にも飛ばしたことを明かしました。攻撃はイラン時間午前2時頃から約25分間で、B-2以外にも大量の兵器が使用されました。
精密誘導兵器と標的施設
米軍はこの作戦で合計約75発の精密誘導兵器を使用しました。特に、初めての実戦使用となった13トン以上の大型バンカーバスター「GBU-57」が14発投下されました。その他、125機以上の戦闘機や偵察機、巡航ミサイル潜水艦なども作戦に参加し、数百人の専門家が関与した大規模なものです。攻撃対象はイラン国内のフォルドゥ、ナタンズ、イスファハンの3核関連施設。GBU-57はフォルドゥとナタンズに、イスファハンには巡航ミサイル「トマホーク」が20発以上発射されました。
衛星写真で見る攻撃の痕跡と影響
アメリカに攻撃される前のフォルドゥの衛星写真を見ると、攻撃後には一帯が黒く焦げているのが確認できます。さらに近寄ると、地面に複数の穴が開いており、攻撃の激しさを物語っています。今回の攻撃は、イランの核開発能力に打撃を与えると同時に、地域の緊張を一層高めるものとなりました。国際社会は、この後の展開を注視しています。
今回の「真夜中の鉄槌作戦」は、B-2爆撃機をおとりに使うなど高度な戦術を用い、イラン核施設への大規模かつ精密な攻撃として実行されました。米軍は成功を強調していますが、この攻撃が中東情勢の不安定化を招き、軍事大国間の緊張を高める可能性があり、予断を許さない状況が続いています。
【参照元】
米軍発表、各国報道などに基づく
