関電の調査「年内報告」間に合う? 第三者委は徹底調査…社長人事にも影響





関西電力の役員らが金品を受領していた問題について会見する同社の(左から)八木誠会長と岩根茂樹社長=10月9日、大阪市福島区(安元雄太撮影)

 役員らによる金品受領問題に揺れる関西電力が、第三者委員会の調査終了時期に神経をとがらせている。監督官庁の経済産業省は年内報告を強く求めるが、第三者委は事実解明を優先し越年も辞さない構えだ。調査の進捗(しんちょく)は関電側に明らかにされず、報告が出れば辞任する岩根茂樹社長の後任人事も難航。問題発覚から2カ月、気をもむ年の瀬を迎えている。(岡本祐大)

■早期終了には批判も

 10月9日に発足した第三者委は、元検事総長の但木敬一委員長ら委員・顧問計4人のもと、15~20人程度の弁護士らが調査にあたっている。約2万人の全社員を対象に1万円以上の金品をもらった経験や、見聞きしたことがあれば申告するよう要請。関係者にヒアリングしたり、OB向けの情報提供窓口を開設したりした。削除されたメールの復元なども行っているとみられる。

 関電は第三者委設置時、報告のめどを年内としたが、但木委員長は「中途半端に調査を打ち切ることはない。期限は約束できない」と強調。徹底解明を目指す方針だ。

 同様に職員の金品問題が発覚した福井県では、第三者委が1カ月程度で調査を打ち切り、「(金品を提供した)福井県高浜町の元助役に便宜を図った事案は確認されなかった」と結論づけた。しかし調査が不十分と批判が高まっている。

■「年内」こだわる経産相

 一方、電気事業法に基づく報告徴収を求める経産省は、早期提出にこだわりをみせる。梶山弘志経産相は開会中の臨時国会で「『年内に』ということを守ってもらうよう期待している」と答弁。関電側に「(調査の)態勢強化などの措置を講じること」を申し入れ、報告が不十分なら再び徴収命令を出すと明言した。

 「年内とは悠長なこと」と早期解明を求めた前経産相の菅原一秀氏が自身の疑惑で大臣を退き、野党が「桜を見る会」への攻勢を強めたことで、関電内には「追及の手が和らぐ」と一時、安(あん)堵(ど)の声も漏れた。ただ、経産省は「年内報告を求めるスタンスは変わっていない」(同省関係者)と厳しい姿勢だ。

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