力による平和の理念はどこへ?イラン攻撃で露呈、「軍事介入ファースト」で低下するトランプの「ディール力」


 それは、このところ指摘されているTACO(タコ Trump Always Chickens Out:トランプはいつもおじけづいて身を引く)」というイメージを払拭し、断固たる決断ができる「強いリーダー」を演出したかったのだろう。

 しかし、トランプの熱狂的なMAGA(マガ Make America Great Again:米国を再び偉大にする)支持者や、米国民の半数近くは、トランプのイラン核施設空爆を支持していない。以下では、MAGA支持者の声と空爆に関する最新の世論調査結果を紹介し、その上で、イラン核施設攻撃後のトランプの「力による平和」の意味について述べる。

MAGA支持者の声―少数派のスミス氏

 スミスは、まず「米国がイランに対し軍事行動をとらないようにと願っていました。トランプは大統領として素晴らしい仕事をしてきたからです。イスラエルはイランにすでにかなりのダメージを与えていました」と答えた。彼は、イラン核施設攻撃は不必要であったと考えている。

 また、スミスは「仮にイランを攻撃するならば、多国籍軍による攻撃を望んでいました」とも語った。今回のような単独の軍事力行使に否定的な立場をとっている。

 さらに、スミスは「今後、米国内でテロが発生したら、民主党や左派は、イランを攻撃したトランプを批判するでしょう。イスラエルと米国によるイランへの武力行使が、世界大戦に発展したら、彼らは明らかにトランプを批判します」と加えた。彼は、トランプのイラン核施設攻撃が、近い将来、民主党と左派の攻撃材料になることを懸念している。

 後述するように、彼の意見はMAGAの中では少数派である。しかし、MAGAたちの日常のネットワークから推すと、彼の考えもある程度、仲間内では共有されている可能性は充分ある。



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