駐日イギリス大使、娘の同性婚と初孫誕生語る 「多様な社会こそ豊か」

6月は世界的に性的マイノリティーの権利を啓発する「プライド月間」です。この特別な月に、ジュリア・ロングボトム駐日イギリス大使が日本テレビの単独インタビューに応じ、長女の同性婚と最近の初孫誕生について語りました。大使はご自身の経験を通して、「多様な社会こそが、より豊かで成長しやすい社会だ」との考えを示しました。駐日イギリス大使の個人的なエピソードは、多様な家族の形と社会のあり方について考える機会を与えてくれます。

同性婚について語るジュリア・ロングボトム駐日イギリス大使同性婚について語るジュリア・ロングボトム駐日イギリス大使

娘ナタリーさんとパートナーの家族について

大使の長女ナタリーさんは、幼い頃からスポーツを愛し、14歳からは特にクリケットに情熱を注いできました。2013年からはイングランド代表チームの選手として活躍しています。ナタリーさんの所属するスポーツ界や様々なコミュニティーには、以前から同性愛者の友人や同性カップルが多くいました。そのため、彼女にとって長年共にスポーツを楽しんできた人との関係が深まることは、ある意味自然な流れだったと大使は語ります。また、スポーツ界全体が、同性間の関係性に対して非常にオープンな環境であると感じているそうです。

娘の同性婚と家族の形

大使がナタリーさんがLGBTQ+当事者であることを最初に知ったのは、彼女がチームメートのキャサリンさんと交際していると教えてくれた時でした。大使はその瞬間を「とても嬉しい瞬間」だったと振り返ります。ナタリーさんとキャサリンさんはそれまで非常に良い友人同士だったからです。大使自身も、娘の周りに同性愛者が多くいたことから、可能性としては理解していたそうですが、実際に交際が始まった時に認識したとのことです。

その後、二人は結婚を決めました。イギリスでは、2013年に同性婚が法的に認められており、ナタリーさんとキャサリンさんは2022年に結婚式を挙げました。大使は、婚約の知らせを受けた時のエピソードを披露しました。家族でスキー休暇中に、キャサリンさんがプロポーズした翌日、スキーをしていたナタリーさんが滑り降りてきて、「お母さん、お父さん、キャサリンと私、結婚することにしたの」と告げたそうです。その夜は家族全員で盛大にお祝いし、素晴らしい思い出になったと語っています。

体外受精による孫の誕生

同性カップルが子どもを持つためのサポートを行うクリニックがイギリスにはあります。ナタリーさんとキャサリンさんはそのクリニックを利用し、ドナーを選びました。幸運にも体外受精(IVF)の処置が成功し、今年の3月末にキャサリンさんが元気な男の子を出産しました。大使にとって、その男の子が初めてのお孫さんとなります。

ジュリア・ロングボトム駐日イギリス大使の個人的な体験談は、多様な家族の形が存在すること、そしてそれを社会がどのように受け入れていくかという重要な問いを投げかけます。大使が強調するように、一人ひとりの多様性が尊重される社会こそが、真に豊かで活力ある成長を遂げることができるのではないでしょうか。