初の中露間天然ガスパイプライン、供給開始 接近鮮明に

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 【モスクワ=小野田雄一】ロシア東部から中国に天然ガスを輸送するパイプライン「シベリアの力」が2日、供給を開始した。中露を結ぶガスパイプラインの完成は初。全長約3000キロで、年間最大380億立方メートルの天然ガスを輸送する。米国との対立を抱える中露両国は、経済・軍事面での協調を深めており、シベリアの力の操業開始は両国の接近をさらに印象付けた。

 プーチン露大統領と中国の習近平国家主席は2日、ビデオ中継を通して供給開始式典に参加。プーチン氏は「ガス供給開始は両国の戦略的互恵関係を質的に新たなレベルに引き上げる一歩だ。2024年までに両国の貿易規模を2000億ドルまで拡大するという課題にも両国を近づける」と述べた。習氏も「両国関係の発展はわれわれにとって優先的な外交方針だ」とし、蜜月ぶりをアピールした。

 シベリアの力は14年5月、露国営天然ガス大手ガスプロムと中国国有の中国石油天然ガス集団(CNPC)が建設に合意。シベリア地方イルクーツク州と極東サハ共和国の油田でガスを採掘し、中露国境の極東アムール州を経由して中国の黒竜江省まで輸送する。

 ロシアは、14年のウクライナ南部クリミア併合で欧米との関係が悪化。ガスの主要輸出先としてきた欧州に加え、アジアや中東など販路の多角化を進めている。2日付の露経済紙コメルサントは、シベリアの力によりガスプロムは来年、約10億ドル(約1100億円)の収益が見込めると伝えた。

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