大人気小説原作のアニメ「薬屋のひとりごと」は、シリーズ累計発行部数4000万部を超える話題作です。謎解きと後宮を舞台にしたエンターテイメントとして、2023年秋の第1期放送以来、Xで毎回のようにトレンド入りするなど、視聴者の心をつかんできました。その人気に応え、ABEMAでは第2期の全話を無料一挙放送します。間もなく最終回を迎えるにあたり、改めて本作の魅力を深掘りします。
不愛想ながら切れ者!主人公・猫猫の痛快な活躍
舞台は、様々な思惑や陰謀が渦巻く後宮。この華やかな世界の片隅に、地味な装いの下女、猫猫がいます。花街で育ち、人さらいで後宮に売られたという波乱万丈の境遇を持つ彼女は、人付き合いが苦手な不器用な娘。しかし、元後宮医官の養父から受け継いだ薬学の知識と、人並み外れた好奇心、そして鋭い推理力という誰にも負けない武器を持っていました。
厄介事を避け、目立たずに過ごしたいと思いつつも、気になる事件、特に薬や毒に関することとなれば、目の色を変えて首を突っ込まずにはいられません。この特異な性格が、猫猫を後宮内で良くも悪くも注目の的とし、高級官僚である壬氏や上級妃たちの目に留まるきっかけとなります。
アニメ「薬屋のひとりごと」主人公の猫猫
猫猫が持つ断片的な情報と膨大な知識を結びつけ、鮮やかに謎を解き明かす様は、まさに「お見事」の一言。事件の真相が明らかになることで救われる者もいれば、罪に問われる者もいますが、猫猫にとって事件の結末は二の次。真実を追求し、自身の知的好奇心を満たすことこそが、最大の喜びなのです。
誰に対しても媚びず、常に飄々として冷静沈着。そんな猫猫は、孤高の名探偵とも呼べる存在です。周囲とは一定の距離を置きますが、明るく無邪気な小蘭や変わり者の子翠といった下女仲間との日々の中で、本人は無自覚ながらも友情や絆を育んでいきます。不意に垣間見える猫猫の心の機微や成長も、本作の深みとなっています。
もどかしさがたまらない!猫猫と壬氏の関係性
謎解き要素に加え、視聴者を惹きつけてやまないのが、猫猫と高級官僚・壬氏との間に生まれる独特な関係性です。猫猫の薬師としての非凡な才能と推理力に目をつけた壬氏は、彼女を玉葉妃付きの侍女兼毒見役として召し抱え、その後も様々な相談事を持ち掛けるようになります。
本来なら身分の差を超えて深く関わることのない二人ですが、壬氏はそんな隔たりを意に介さず、猫猫との距離を縮めようとします。時にはちょっかいを出したり、意地悪をしたりすることも。その行動の裏には、彼のツンデレとも言える猫猫への好意が見え隠れしますが、他人の感情に驚くほど鈍感な猫猫には全く伝わりません。
微笑むだけで後宮の女性たちを魅了する「モテ男」である壬氏が、ただ一人、自分に靡かない相手――それが猫猫です。そんな彼の不憫な様子は、気の毒でありながらも、多くの視聴者にとって萌えポイントとなっています。普段は冷静沈着な高官として振る舞う壬氏が、猫猫の前では年相応の子供っぽい素顔を見せるギャップも魅力的。猫猫は、彼にとって肩の力を抜ける数少ない相手なのかもしれません。
しかし、壬氏は猫猫に振り回されるばかりではありません。猫猫が危機に陥った際には、自身の立場や危険を顧みず、頼りになる行動力を見せます。猫猫は知識と推理で壬氏を助け、壬氏は自身の権力と行動力で猫猫を救う。地位も性格も対照的な二人ですが、互いを補い合う理想的なバディと言えるでしょう。
アニメ第1期では、一進一退のじれったいやり取りが描かれ、視聴者をやきもきさせましたが、第2期では二人の関係が大きく動き始めます。特に大きな反響を呼んだのが、第35話と第36話で描かれた洞窟でのエピソードです。バランスを崩した猫猫が壬氏の上に倒れ込んだ際、壬氏が真剣な表情で猫猫を抱き寄せ、口づけを試みようとするシーンは、これまでにない官能的な雰囲気と壬氏の色気あふれる姿が相まって、多くの視聴者を悶絶させました。このエピソードは本作屈指の「神回」として語り継がれています。
洞窟で猫猫を抱き寄せる高級官僚・壬氏
猫猫に匹敵するほど重要な人物でありながら、その過去や素性が多くの謎に包まれている壬氏。そして、猫猫が関わる様々な事件や人物に張り巡らされた緻密な伏線。これらが思いがけない形で巧みに回収されていく物語の構成も、本作が視聴者を惹きつける大きな要因です。ABEMAでは第1期も引き続き視聴可能です。第1期で物語の始まりや伏線を改めてチェックし、第2期でその答え合わせを楽しむのも良いでしょう。「薬屋のひとりごと」の世界に、ぜひ浸ってみてください。