国連報告者、イスラエル軍事行動・入植地支援の企業60超を名指し

[ジュネーブ 1日 ロイター] – パレスチナ自治区担当の国連特別報告者、フランチェスカ・アルバネーゼ氏は6月30日に公表した報告書で、イスラエルの入植地建設やガザ地区での軍事行動を支援したとして、大手防衛企業や情報技術(IT)企業など60社以上の名前を挙げた。同氏はこれらの企業に対し、イスラエルとの取引を停止するよう求めるとともに、国際法違反の疑いがある企業幹部の法的責任追及を訴えている。

パレスチナ担当の国連特別報告者、アルバネーゼ氏パレスチナ担当の国連特別報告者、アルバネーゼ氏

アルバネーゼ氏は報告書の中で、「ガザ地区で生活が破壊され、ヨルダン川西岸への攻撃が激化する中、この報告書はイスラエルによるジェノサイド(大量虐殺)がなぜ続くのかを示している。多くの人に利益をもたらすからだ」と述べた。さらに、企業が「イスラエルのアパルトヘイトと軍国主義に経済的に縛られている」と厳しく非難している。

これに対し、イスラエルの在ジュネーブ国際機関代表部は、この報告書は「法的根拠がなく、名誉を棄損するもので、露骨な職権乱用だ」と強く批判した。イスラエル首相府および外務省は、ロイターからのコメント要請に現時点で応じていない。ニューヨークの米国連代表部も、グテレス国連事務総長に対し、アルバネーゼ氏を非難し解任を求めるよう要請したことが明らかになっている。

名指しされた主要企業とその関与

報告書で名指しされた企業には、防衛、重機、情報技術(IT)など、様々な分野の大手企業が含まれている。それぞれの企業は、イスラエルの軍事行動や入植地建設に関連する活動への支援が指摘されている。

防衛・重機産業

防衛大手では、米国のロッキード・マーチンやイタリアのレオナルドが挙げられた。これらの企業の兵器がガザ地区で使用されたとしている。また、米国のキャタピラーや韓国の現代重工業といった重機メーカーも、パレスチナにおける器物損壊に関与していると指摘されている。

ロッキード・マーチンの広報担当者はこれに対し、「外国への武器売却は政府間の取引として行われている」とコメントしている。

情報技術(IT)産業

IT大手では、アルファベット(グーグルの親会社)、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、IBMが名指しされた。報告書はこれらの企業を、「イスラエルの監視活動と、現在進行中のガザ破壊の中核をなす存在」と位置付けている。

アルファベットは以前、イスラエル政府とのクラウドサービス契約について、軍事活動や情報機関の活動に直接向けられたものではないと説明したことがある。

今後の見通し

今回の報告書は、3日に国連人権理事会に正式に提出される予定となっている。この報告書が、企業や各国のイスラエル関連政策にどのような影響を与えるか注目される。