イーロン・マスク氏、新党「アメリカ党」結成を発表 二大政党制に挑む

ドナルド・トランプ米大統領の元側近であり、実業家であるイーロン・マスク氏が先日、米国の「一大政党制」に異議を唱えるべく、新たな政党を立ち上げたことを公表しました。世界有数の富豪であり、2024年大統領選挙ではトランプ氏に多額の献金を行ったマスク氏は、過去に「政府効率化省(DOGE)」責任者として共和党の支出削減や連邦職員削減に取り組み、その後大統領と激しく対立した経験があります。

米国の新党「アメリカ党」結成を発表した実業家イーロン・マスク氏(2025年5月30日撮影)米国の新党「アメリカ党」結成を発表した実業家イーロン・マスク氏(2025年5月30日撮影)

テスラおよびスペースXの創業者でもあるマスク氏は、自身が所有するソーシャルメディアX(旧ツイッター)を通じて、「浪費や汚職によって国を破産させるという点において、我々は民主主義ではなく一大政党制の国に生きている」と述べました。「本日、アメリカ党は皆さんの自由を取り戻すために結成された」と発表し、新党の目的を強調しています。

「一大政党制」への批判と新党結成の背景

マスク氏は、現在の米国の政治システム、特に二大政党制(彼が「一大政党制」と呼ぶもの)が、浪費と汚職を招き、国を財政的に破綻させていると厳しく批判しています。彼は、このシステムが国民の自由を制限していると考え、それを是正するために新たな政治勢力が必要であるとの認識を示しました。新党「アメリカ党」の結成は、この強い問題意識に基づいています。

国民の支持を問う世論調査

マスク氏は、新党結成に先立ち、7月4日の米国独立記念日にX上で世論調査を実施しました。「二大政党制(一大政党制と言う人もいる)からの独立を望むか」と問いかけ、120万件以上の回答を得ました。その結果、「2対1の割合で、皆さんは新たな政党を望んでおり、それを手に入れるだろう」と述べ、世論調査の結果が新党結成を後押ししたことを示唆しています。

トランプ氏との確執と「歳出法案」問題

先月、トランプ氏が共和党議員に対し、歳出法案「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル」を強行通過させるよう促したことが、マスク氏との対立を再燃させるきっかけとなりました。マスク氏は同法案に強く反対し、歳出削減を訴える共和党支持者が「債務奴隷制」を支持していると厳しく非難しました。この歳出法案に賛成票を投じた議員たちに対抗するため、マスク氏は新党を設立すると表明しており、今回の発表はそれに続く動きです。

まとめ

イーロン・マスク氏による新党「アメリカ党」の結成は、米国の既存の二大政党制、特に政府の浪費と債務問題に対する彼の強い批判から生まれました。過去のトランプ政権での経験や、最近の歳出法案を巡る対立が、この動きを加速させたと見られます。マスク氏は、新党が国民の自由を取り戻すことを目指すと述べており、今後の米政治における新たな展開として注目されます。