参議院選挙の争点「消費税」 国の収入源と社会保障を支える仕組みを解説

7月の参議院選挙の選挙戦が本格的にスタートし、各政党の公約の中で「消費税の引き下げ」が大きな注目を集めています。日々の生活で誰もが負担する消費税は、私たちの暮らしに直結する重要な税金です。投開票日を前に、そもそも消費税とはどのような税金で、何に使われているのか、そして日本の消費税は世界と比べてどうなのか、ニュースサイトの編集者・専門家として分かりやすく解説します。

消費税は国の歳入を支える重要な柱

消費税は、商品やサービスの購入時にかかる税金で、現在の税率は標準10%(一部品目は軽減税率8%)です。この税金は、年齢や収入に関わらず広く国民が負担するため、国にとって非常に安定した収入源となっています。

私たちが普段何気なく支払っている消費税が、年間でどのくらいの規模になるのかを見てみましょう。国税庁が公表する2024年度の一般会計歳入(当初予算)に関するデータは、この点を明確に示しています。歳入とは国が1年間に得る全ての収入であり、一般会計歳入は社会保障や教育、防衛など、国の基本的な活動資金となる収入です。

2024年度の一般会計歳入は、当初予算で約112兆6000億円と見込まれています。このうち、消費税による収入、すなわち消費税収は約23兆8000億円が見込まれており、これは歳入全体の約21%を占めます。さらに、税金による収入(租税および印紙収入)全体約69兆6000億円の中でも、消費税は約34.2%を占め、所得税(源泉+申告分約17兆9000億円)や法人税(約17兆円)を上回り、最大の税収項目となっています。このことから、消費税は予算ベースで見ても、国の収入を支える最も大きな柱の一つであることが分かります。

消費税と国の財政をイメージしたコインと紙幣消費税と国の財政をイメージしたコインと紙幣

集められた消費税は何に使われているのか?

消費税の税収は、具体的にどのように使われているのでしょうか。2025年度予算において、消費税の税収は約24兆9000億円と見込まれています。

私たちが負担する消費税の使い道については、法律で明確に定められています。2014年度以降、消費税収は「社会保障4経費(年金、介護、医療、子ども・子育て支援)」に充てられることになっています。2025年度の当初予算におけるこれら社会保障4経費の合計は約34兆円にのぼります。消費税収はこの社会保障費の大部分を支える重要な財源となっているのです。ただし、消費税の国税分(約24兆9000億円の見込み)だけでは社会保障4経費の全てを賄うことはできず、不足分は他の税収や国債の発行などで補われています。

このように、消費税は国の歳入の大きな割合を占め、特に国民生活に不可欠な社会保障制度を支えるための重要な財源として位置づけられています。

まとめ

本記事では、参議院選挙で注目される消費税について、その国の収入における位置づけと具体的な使い道を解説しました。消費税は、国民が広く負担する税金として、国の歳入の約2割、税収全体の約3割強を占める最大の税収源です。そして、その使い道は法律により、年金、医療、介護、子ども・子育て支援といった社会保障制度を支えるために充てられています。消費税収だけでは社会保障費の全てを賄えるわけではありませんが、その重要な財源であることは間違いありません。消費税のあり方を巡る議論は、日本の財政と社会保障の未来に直結する重要なテーマと言えるでしょう。