自民党の鶴保庸介参議院議員が、能登半島地震について「運のいいことに能登で地震があった」と発言し、大きな物議を醸しています。7月9日には発言の真意を説明するため会見を開きましたが、いまだ鶴保議員に対する批判の声は沈静化していません。
自民党 鶴保庸介議員のプロフィール写真
発言の詳細と波紋
発端となったのは、7月8日に和歌山県内で行われた参議院選挙の応援演説での出来事です。鶴保議員はこの演説で、地方での「2拠点居住」推進の必要性を訴える文脈で能登半島地震に言及しました。その際、「運のいいことに能登で地震があった」「緊急避難的ですけど、金沢にいても輪島の住民票が取れるようになっていたんですよ」と発言したと報じられています。
大勢の犠牲者が出た能登半島地震を「運のいいこと」と表現したことは、被災された方々の心情を逆なでするものであり、信じがたい発言として瞬く間に批判が巻き起こりました。政治ジャーナリストは、「地震は決して『運のいいこと』であるはずがなく、被災者の気持ちを考えると、どうしてこのような言葉が出てくるのかと耳を疑う」と指摘しています。
鶴保庸介議員と野田聖子氏 2001年婚約発表会見
会見での釈明と態度
発言を受け、鶴保議員は8日深夜にコメントを発表し発言を撤回。翌9日には記者会見を開きました。会見では「被災地への配慮が足りなかった。言葉足らずであったことを深く反省し、陳謝の上、撤回させていただきたい」と述べました。
発言の真意については、「運良くなどと、そう思った発言ではまったくありません。私自身、被災地をどうやって支えていくか、心を砕いている者の1人であると自負はしているつもりです」と説明。しかし、政治ジャーナリストからは会見での鶴保議員の態度に疑問の声が上がっています。
会見にノーネクタイ姿で登場した鶴保議員は、途中で時折薄ら笑いを浮かべる場面も見られたといい、反省しているようには見えなかったとの指摘があります。「被災地のことを本当に考えているのなら、8日の演説で被害が甚大な珠洲市を読めず、『たま……なんだっけ』と発言するはずがない」と、会見での言葉と行動の矛盾を指摘する声もあります。離党についても「現状そこまでは考えていない」としており、本人は今回の会見で責任を果たしたと考えている可能性が示唆されています。
世間と政治家の反応
鶴保議員の失言と会見での態度に対し、インターネット上では厳しい批判が殺到しています。「言い訳ばかりで反省してない。まずはごめんなさいでしょ?」「最近のバカ議員No.1」「離党どころか議員辞職レベルの失言。言って良い事と悪い事の区別もつかない大バカ野郎」といった怒りの声が多数見られます。
また、野党のみならず、与党内からも鶴保議員の発言を非難する声が上がっています。自民党は鶴保議員を厳重注意処分としましたが、この対応で国民の納得が得られるかは不透明です。
参院選への影響は
今回の失言は、来る参議院選挙を控える自民党にとって、致命傷になりかねないとの見方があります。産経新聞とFNNが7月5日と6日に実施した情勢調査では、与党が参院選で改選過半数(125議席)を維持できるか微妙な情勢が伝えられており、鶴保議員の失言が選挙戦に与える影響が懸念されています。鶴保議員への厳重注意という処分が、有権者の判断にどう作用するかが注目されます。