高市早苗首相による「台湾有事」発言を契機に日中間の対立が深刻化する中、永田町では「早期衆院解散」の可能性がひそかに浮上しています。与党内からは、高市内閣の異例ともいえる高支持率を背景に、政権基盤の安定化を図るべきだとの声が強まっており、次期総選挙への準備を迫られる議員たちの間で緊張が高まっています。
高支持率が後押しする解散論の背景
早期解散論が台頭する最大の要因は、高市内閣の「異様な高支持率」にあります。過去の自民党内閣が就任時をピークに支持率が低迷する傾向にあったのに対し、高市内閣は発足から1カ月半でさらに支持率を上昇させるという前例のない事態にあります。これは「憲政史上初の女性首相への国民的期待」はもちろんのこと、政権発足後の内政・外交における一部の「迷走」にもかかわらず高市人気が高まっている点が、与党内識者から「想定外」と評されています。この状況が「いま解散しないでいつやるのか」という強気の声を生み出す原動力となっています。
永田町で囁かれる早期解散論と日中対立
世論調査と自民党支持率の乖離
一方で、各種世論調査を詳細に分析すると、自民党全体の支持率上昇は限定的であり、直近の地方選挙では自民党の不振も目立っています。このことから、「高市人気と自民党支持は必ずしも連動していない」との見方も存在します。高市首相自身も「焦眉の急は物価高対策であり、解散している暇などない」と明言しています。しかし、「解散と公定歩合はウソを言ってもいい」という政界の不文律があるため、年末以降は何が起きてもおかしくないという見方が根強く残っています。
内閣支持率の具体的な上昇データ
高市内閣発足後の世論調査結果では、発足から3週間が経過した11月15〜16日に実施された2回目調査で、内閣支持率が顕著に上昇しています。具体的には、10月の政権発足直後の調査で58.7％と最も低かったANNは、2回目調査で67.5％と8.8ポイント増を記録。また、1回目調査で64.4％だった共同通信も、2回目では69.9％と5.5ポイント増となり、いずれも大幅な上昇傾向を示しています。これらの数字が、与党内の早期解散論をさらに加熱させている要因の一つと言えるでしょう。
結論
高市内閣の高い支持率が早期解散論を後押しする一方で、自民党支持率との乖離や首相自身の物価高対策への注力など、複雑な要因が絡み合っています。しかし、政治における「解散は嘘をついても良い」という慣例から、年末以降の政治情勢は予断を許さない状況であり、日本政治の動向は引き続き注目されます。
