【07月14日 KOREA WAVE】本来は熱帯や亜熱帯に生息する希少な高級魚であるメカジキが、韓国の東海岸に出現した。江原道三陟沖で体長3メートル、体重200キロの個体が捕獲されたものの、わずか6万ウォン(約6414円)という驚くべき「屈辱価格」で取引された。この背景には、クロマグロ(本マグロ)の記録的な豊漁に伴う供給過剰があると考えられている。
韓国東海岸に珍しいメカジキ現る
三陟水協やチョン・ヨンチョル三陟市議によると、三陟の汀羅津沖で7月10日未明、定置網漁船がこのメカジキを捕獲した。現場に立ち会ったチョン市議は、「三陟港などに毎日足を運んでいるが、メカジキを見たのは初めてだ」と述べ、自身のSNSに写真や映像を公開した。地元関係者にとっても、韓国東海岸でのメカジキの出現は非常に珍しい出来事だった。
温暖な海域に生息する高級魚
メカジキは太平洋、大西洋、インド洋といった温暖な海域に広く分布しており、韓国の東海岸で水揚げされることは極めて稀だ。その肉質はクロマグロに似て脂がよく乗り、刺身やステーキといった高級料理の食材として世界的に珍重されている。
驚きの競り値、わずか6万ウォン
しかし、この日三陟水協で行われた競りでのメカジキの価格は、わずか6万ウォン(約6414円)だった。これほどの大きさで希少な魚としては、異例中の異例と言える「破格」の値段である。通常であれば、はるかに高値で取引されるはずの魚だった。
韓国江原道三陟港で水揚げされた3メートル、200kgのメカジキ。記録的なクロマグロ豊漁の影響で異例の安値に。
背景にあるクロマグロの記録的豊漁と価格下落
メカジキが安値で取引された主な背景には、同じ時期に発生したクロマグロの記録的な豊漁がある。三陟水協によれば、2025年に入ってから、この地域の市場だけで既に10トンものクロマグロが水揚げされており、これは昨年の年間水揚げ量20トンに迫る勢いだという。さらに、近隣の慶尚北道盈徳郡の港では、130~150キロ級のクロマグロ約1300匹が一度に水揚げされるという前代未聞の事態も起きている。
このクロマグロの供給過剰が、市場価格の下落を招いている。同じ日、メカジキと共に捕獲された体重226キロのクロマグロも、価格はわずか45万ウォン(約48105円)だった。かつては同じサイズのものが200万ウォン(約213800円)前後で取引されていたことを考えると、その下落幅は極めて大きい。三陟水協の関係者は、「以前なら226キロのクロマグロは200万ウォン程度だったが、海水温の上昇で大量に捕れるようになり、価格が大きく下がった」と語った。
地元市場の事情と運搬の困難さ
メカジキが安値となったもう一つの理由は、東海岸地域にはメカジキの扱いに慣れた業者や飲食店が存在しないことにある。加えて、メカジキはその口先が長く突き出した独特の形状をしているため、漁獲後の運搬や加工にも手間がかかることも敬遠される要因となった。
海水温上昇がもたらす変化
チョン市議は、「海水温が上がる前は、このような種類の魚が捕れることはほとんどなかった。三陟にはメカジキを適切に扱える業者や料理店がなく、そのため需要もほとんどなかったため、最も安い価格で売られてしまった」と説明している。温暖化による海水温の上昇が、本来とは異なる海域での魚種の捕獲を増加させ、それが従来の市場メカニズムに影響を与えている現状が浮き彫りとなった。
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