「メイプル超合金」安藤なつが語る、介護経験が育んだ「やりがい」

お笑いコンビ「メイプル超合金」のツッコミとして多くの人に知られる安藤なつさん(44歳)。実は、彼女は介護福祉士の資格を持ち、芸人としてブレイクする以前から介護の現場に関わってきました。この記事では、安藤さんが自身の「介護経験」について語った貴重なエピソードを紹介します。

お笑いコンビ「メイプル超合金」の安藤なつさん。介護経験を語る。お笑いコンビ「メイプル超合金」の安藤なつさん。介護経験を語る。

幼少期に始まった介護との関わり

東京都で生まれ育った安藤さんは、子供の頃は男の子と秘密基地を作るような活発なタイプでした。当時は今のような特別支援学級などもなく、障害のある方との直接的な接点はほとんどなかったと言います。

そんな安藤さんが介護や福祉の世界に触れることになったのは、7歳の時。都内にあったおじが運営する小規模なデイケア・ショートステイ事業所に遊びに行ったのがきっかけでした。そこで初めて脳性まひの方と出会い、子供心に「どこか痛いのかな」「ケガをしているのかな?」と感じたそうです。しかし、施設には2~3人の利用者さんがおり、一緒にお菓子を食べたり、散歩に出かけたりする中で、楽しい時間を共有しました。

それ以来、おじさんの事業所を訪れることが増え、小学校高学年になる頃には、利用者さんと一緒にマラソンやプールなどの合宿にも参加するように。「みんなでワイワイ騒ぐのが好きだった」という経験が、後の人生観にも影響を与えました。中学では柔道部と並行してボランティア部にも所属します。

中学生で感じた介護の「やりがい」と芸人への道

中学生になりボランティア部に入ったものの、ほとんど活動していなかったため、安藤さんは土日を利用しておじの事業所で高齢者や障害者の介護を手伝うようになりました。

特に印象深い経験として語ったのが、当時「痴ほう(現在の認知症)」と呼ばれていた物忘れのあるおばあちゃんとのエピソードです。着替えや食堂に行くことを強く渋る利用者さんでしたが、数か月間根気強くお世話を続けるうち、ついに食堂まで一緒に移動できた時のことを「自分のことを認めてくれたんだって、すごくやりがいを感じました」と振り返っています。

医療的ケアの体験をする安藤なつさん。介護福祉士の視点。医療的ケアの体験をする安藤なつさん。介護福祉士の視点。

介護の経験を積むかたわら、お笑い番組を観るのが好きだった安藤さんは、中学2年生の時にピン芸人「アンラッキー後藤」さんが相方を募集していることを知ります。すぐに手紙を書いて応募しましたが、大学進学を理由に断られてしまいました。しかし、その時の丁寧な返信に心を打たれた出来事が、後にお笑い芸人を志す大きなきっかけの一つとなったそうです。

介護経験がもたらしたもの

安藤なつさんの介護経験は、幼少期からの自然な触れ合い、そして中学生での主体的なボランティア活動を通して深く根差しました。高齢者や障害を持つ方々との関わりの中で得た「やりがい」や、人との繋がりの大切さは、現在の芸人という活動にも様々な形で活かされているのかもしれません。多忙な日々の中で介護福祉士としての視点を持ち続ける安藤さんの、今後のさらなる活躍に期待が集まります。