ロシア人女性と娘2人、インドの洞窟で不法滞在発覚 – ビザ期限切れ8年

インド南部カルナタカ州の洞窟で、ロシア人女性と幼い娘2人が渡航書類の期限が切れてから何年も経過した状態で生活しているのが見つかり、地元当局が明らかにした。この発見は、国境を越えた不法滞在とそれに伴う安全保障上の懸念を浮き彫りにしている。

洞窟での発見とビザの状況

ロシア人女性と娘2人、インドの洞窟で不法滞在発覚 – ビザ期限切れ8年
インドの洞窟で娘2人と共に生活していたロシア人女性、ニナ・クティナさん。自然環境での暮らしを語る。

発見されたのはロシア国籍のニナ・クティナさん(40)と、6歳および4歳の2人の娘である。カルナタカ州沿岸部の森林に位置するこの洞窟は、土砂崩れが発生しやすい観光地でもあり、地元警察による巡回中に3人は発見された。警察の調べによると、クティナさんのインド滞在ビザは8年前に失効していたことが判明している。

「自然の中での生活」を擁護する母親の主張

クティナさんは地元メディアの取材に対し、自身が選択した電気や水道のない生活を擁護した。彼女は、滝で泳いだり、絵を描いたり、陶芸をしたりして日々を過ごしていたと語っている。インドメディアとの英語でのインタビューで、クティナさんは「私たちには密林など自然の中で暮らした経験がある。死ぬつもりはなかった。娘たちを密林で死なせるために連れて来たわけではない」と述べ、さらに「娘たちは気分を害さず、とても幸せだった」と付け加えた。

彼女は自身のビザについて「少し前に切れた」と説明し、一家はインドに入る前に4カ国で生活し、2017年にインドへ入国したと語った。警察の調査では、クティナさんは2017年4月に期限切れとなったビジネスビザでゴアに到着。その後、2018年9月に一度ネパールへ出国し、再びインドへ戻っていたことが明らかになった。

過去の滞在履歴と当局の懸念

クティナさんは、自身と子どもたちの旅券や査証に関する詳細を明かすことを渋っていたという。娘2人がインド生まれなのかロシア生まれなのかは不明であり、クティナさんは当局に対し、ゴアで息子を亡くしたことを伝えている。

警察幹部は、クティナさんが「自然を愛しており、立ち去りたくないようだが、手続きには従わなければならない」と述べた。また、2017年から当局の知らないままインドに滞在していた事実を「治安上の懸念」と指摘し、「洞窟に入り、2人の子どもと1週間以上も暮らすのは危険であり、驚くべきことだ」と付け加えた。

今後の対応と強制送還へ

現在、クティナさんと娘2人には旅券がなく、当局はロシアへの強制送還手続きを進めている。3人はインド国内で不法滞在する外国人向けの収容施設に移送された。この事案は、観光ビザやビジネスビザの悪用、長期にわたる不法滞在が治安当局にとって大きな課題であることを改めて浮き彫りにしている。

参考文献