コロコロチキチキペッパーズのナダルが、2025年7月13日に放送されたNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』に出演し、大きな話題を呼んでいる。劇中では一橋徳川家の当主・一橋治済を案内する表坊主役をそつなく演じ、その意外なキャスティングに注目が集まっている。彼の「怪芸人」としてのイメージと格式高い大河ドラマという舞台での起用背景には、単なる話題性以上の深い理由が存在する。ナダルが表現者として見せる多面的な進化とその本質に迫る。
大河ドラマ『べらぼう』に出演し話題の芸人ナダルの姿
異色の経歴と「キングオブコント」優勝
ナダルのキャリアは、一般的な芸人とは一線を画す。大学卒業後、一度は会社員として社会人経験を積んだ後、芸人の道を志し、吉本総合芸能学院(NSC)に入学した。そこで同期の西野創人に誘われ、2012年に漫才コンビ「コロコロチキチキペッパーズ」を結成する。わずか3年後の2015年には、コント日本一を決める「キングオブコント」で優勝という快挙を成し遂げ、一躍全国区の知名度を獲得した。この優勝は、コンビとして彼らの存在を確固たるものにした。
「ナダル・アンビリバボー」で見せた「怪芸人」の一面
「キングオブコント」優勝後、コンビとしての知名度以上に、ナダル個人のキャラクターが圧倒的な存在感を放つようになる。当初はマスコット的な愛らしいキャラクターを標榜していたとされるが、テレビ朝日系の人気番組『アメトーーク!』の企画「ナダル・アンビリバボー」を通じて、彼の特異な素顔が露わになった。
一般的な常識から逸脱した失礼な振る舞いや、人前で堂々と不平不満を漏らす言動。それらを指摘されると、無理な言い訳をしたり、開き直って逆ギレしたりと、反省の態度を一切見せない。こうした彼の「異常性」ともいえる振る舞いは、視聴者の記憶に強く焼き付いた。芸人仲間や共演者との会話の「噛み合わなさ」すら武器に変えるその行動は、単なる「いじられ芸人」とは一線を画し、予測不能な爆発力を秘めている。
映像作品が求める「異物感」とナダルの強み
ナダルの最大の強みは、その「圧倒的な異物感」にある。画面に映るだけでその場の空気を一変させる彼の独特な存在感は、近年、ドラマや映画といった映像作品においても重宝される傾向にある。現在の映像業界では、単に整った顔立ちや型通りの演技力以上に、登場人物に求められるリアルな「癖の強さ」や「歪み」が重視されることがある。
ナダルが持つ、良くも悪くも強烈な個性や、型にはまらないリアリティは、キャラクターに深みや説得力をもたらす上で非常に有効だ。彼が今回、格式ある大河ドラマの重要な役どころにキャスティングされた背景には、そうした「一般的な俳優像にはない、唯一無二の存在感」が求められていたという制作側の意図が強く作用していると推測できる。
ナダルの大河ドラマ出演は、単なる話題作りや異業種交流の枠を超え、彼の「表現者としての進化」と現代の映像作品が求める多様性、そして「異質さ」が持つ新たな価値を示すものと言えるだろう。彼の今後の俳優としての多岐にわたる活躍に、期待が高まるばかりだ。
記事参照元:
Yahoo!ニュース