参院選結果、石破政権に何が起こる?自公過半数割れで「ねじれ国会」の衝撃

20日に投開票が行われた参議院議員選挙において、自民党と公明党の与党は改選125議席中47議席の獲得に留まりました。非改選議席と合わせても参議院の過半数を失い、昨年秋の総選挙で衆議院の過半数を割ったことに続き、両院で少数与党に転落する前代未聞の事態となりました。これにより、石破政権の今後の政権運営はより一層厳しさを増すことが確実視されており、自公連立の行方、そして政界全体の動向が注目されています。政治ジャーナリストの青山和弘氏に、今回の選挙結果が持つ意味と今後の展望について伺いました。

参院選の衝撃:自公連立の過半数割れ

今回の参議院議員選挙では、自民党が39議席、公明党が8議席を獲得し、与党全体で47議席にとどまる結果となりました。これにより、与党は参議院における過半数を維持できず、衆参両院で少数与党となる異例の状況に陥りました。青山和弘氏は、この結果について「選挙戦に入って、日を追うごとに自公の数字は悪化していった。投票先を決めていなかった有権者が判断を下す中で、政権与党にプラスとなる要素が全く見当たらなかった」と分析しています。この歴史的な敗北は、石破政権に重くのしかかることとなります。

石破茂首相が参院選開票センターを後にする様子。自民党の苦戦と政権運営の困難を象徴する一枚。石破茂首相が参院選開票センターを後にする様子。自民党の苦戦と政権運営の困難を象徴する一枚。

敗北の背景:集票力低下と予期せぬ要因

自公連立が「必達目標」としていた50議席すら達成できなかった背景には、複数の要因が指摘されています。青山氏は、日米関税交渉の進捗や、自民党参院議員である鶴保庸介氏の失言など、選挙期間中に発生したネガティブな要素が与党の下落トレンドに拍車をかけたと分析しています。

特に、連立パートナーである公明党の集票力低下は顕著でした。神奈川、埼玉、愛知といった「必勝区」とされた選挙区で議席を失っただけでなく、比例代表での得票数も約521万票にとどまりました。これは、2016年の参院選で獲得した約750万票から3割もの大幅減であり、党勢の衰退に歯止めがかかっていない現状を浮き彫りにしました。しかしながら、一時は自公合わせて30議席台の大敗も想定されていたことから、「ある程度踏みとどまった」という見方も存在します。

石破首相の決意と政権運営の危機

選挙結果を受けて、石破茂首相は21日の会見で「痛恨の極み」と述べつつも、「比較第一党の議席をいただいた」「最も必要なのは国政に停滞を招かないこと」と強調し、続投を表明しました。自民党内には「石破降ろし」の声も上がっていますが、首相自身は当面辞任する意向がないと見られます。

しかし、衆参両院で過半数を失ったことで、政権運営は極めて困難な局面を迎えます。例えば、消費税減税法案のような重要法案も、野党が一致すれば可決されかねない「ねじれ国会」の状況です。行政府と立法府が対立するこの前代未聞の事態は、秋の臨時国会において、早々に政権運営が行き詰まる可能性が高いと青山氏は指摘します。

政権交代の可能性と今後のシナリオ

この難局を打開する策として連立政権の拡大が考えられますが、現時点ではそれに乗る野党は見当たらず、実現は困難とされています。仮に石破首相が辞任し、新たな自民党総裁が選出されたとしても、国会での首相指名を乗り切れるかは不透明です。

自民党内には、一度政権を手放して野党に政権運営を任せるべきだという意見すら存在するといいます。これは、一度下野することで政治と金の問題などを「リセット」し、野党が政権に就けばすぐに「ボロ」が出るため、次の衆院選で政権を奪還できるだろうという戦略的思考に基づいています。しかし、野党各党が一致して連立を組むのは事実上不可能であり、仮に政権交代が起こったとしても少数与党となる可能性が高いでしょう。このような状況を鑑みると、最終的に「大連立」という選択肢が浮上する可能性もゼロではないと、青山氏は今後の展開に含みを持たせています。

参考資料