7月6〜7日にリオデジャネイロで開催された新興国グループBRICS首脳会議を受けて、7月10日付けのフィナンシャル・タイムズ紙社説が、BRICS加盟国は拡大したが、まとまりがなくなり、その影響力は低下した、と論じている。要旨は次の通り。
開発途上国のブロックであるBRICSは、世界は変わり欧米主導の戦後秩序は終わった、と主張する。リオデジャネイロで開催された年次サミットで、BRICSも変化したことが明確になった。良い方向への変化ではなく、大きくなったが、まとまりがなくなり、想定される目標を達成する可能性ははるかに低下した。
BRICSは、もはや新興市場有力国のエリート倶楽部ではなくなり、その代わりに、サウジアラビア(加盟手続きは完了していない)のような西側の長年のパートナーやイランのような根強い敵を含む11の国々からなるより分散し矛盾した集団となった。
メンバー拡大はまた、民主主義国家と独裁国家との微妙なバランスを崩し、エジプトを含む権威主義国家は、議会制民主主義国家の数を大きく上回るようになり、加盟予定国にはキューバとベラルーシが含まれており改善される見込みはない。サミットのコミュニケでは、「包摂的」という用語が39回用いられたが、「民主的」は2回しか言及されていない。
では、BRICSは今何を目指しているのだろうか。国連安保理や、国際通貨基金(IMF)、世界銀行といったブレトンウッズ機関において、開発途上国のより公平な代表権を主張するとき、このブロックは最も説得力を発揮する。現在、世界経済に占める割合がはるかに大きくなっている国々により大きな発言権を与えるために、これらの機関のガバナンスを再編成する必要があることに異論を唱える者はほとんどいないだろう。
BRICSの多国間主義の擁護、気候変動を抑制するためのパリ協定への支持、ルールに基づく国際貿易への支持は、この3つすべてがトランプから攻撃を受けている今、友好国を獲得するだろう。変化の激しい世界では、国際的な支払いを処理するために、より優れた技術を使用し、一国への依存度を下げた代替システムも同様かもしれない。
しかし、BRICS諸国は、グローバルな紛争や軍事費の急増について手厳しく批判する際には、まとまりがずっとなくなり、中国とロシアはそのような方針を共有していないようだ。