長年にわたり両親への経済的支援を続けた結果、40歳を過ぎても貯蓄が一切ないという韓国人女性の告白が、現地のオンラインコミュニティで大きな反響を呼んでいます。彼女は自身の人生を「虚しい」と表現し、親への深い恨みを正直に吐露しました。この切実な叫びは、韓国社会における親への経済的依存や家族の責任のあり方について、改めて問いを投げかけています。
幼少期からの経済的困窮と犠牲
この女性が7月17日にオンラインコミュニティに投稿した内容によると、彼女の家庭は常に経済的に困窮していました。幼い頃から「食べたいものも、着たい服も、やりたいこともまともにできなかった」と語ります。父親と母親は飲食店勤務やビルの警備員などをしていましたが、生活は常に苦しく、一家の経済状況は改善されませんでした。
高校生になると、彼女は自らアルバイトを始め、その稼ぎのすべてを両親に渡してきました。自身の夢を追うことも許されず、常に家族の生活を最優先せざるを得ない状況に置かれていたのです。
夢を諦めず大学進学、しかし失われた青春
大学進学を強く望んだ彼女でしたが、両親からは「女が大学に行って何になる、金でも稼げ」と反対されました。それでも夢を諦めきれず、自らの努力で進学を果たします。しかし、大学時代もアルバイトに明け暮れる日々で、友人たちと遊ぶ時間も余裕もなかったと振り返ります。
貯蓄ゼロで親を扶養する韓国人女性の経済的苦境を表すイメージ
「皆がメイクを楽しみ、おしゃれをする年頃に、私は化粧品一つ買えず、短髪にジーンズとTシャツだけ。私の青春は、そうして消えていった」と、当時の辛い心情を綴っています。一般的な若者たちが享受するような自由や自己表現の機会が、彼女には与えられなかったのです。
就職後も続く親への仕送り、貯蓄ゼロの現実
就職してからも、彼女の生活状況は変わりませんでした。得た給料の大半を親への仕送りとして使い、自身の貯蓄はほとんどできませんでした。現在42歳になった彼女は、「貯金はゼロ」という厳しい現実を突きつけられています。
さらに、70歳近くになる両親も依然として経済的に貧しく、彼女の収入がなければ生活が成り立たない状況が続いています。彼女の献身的な支えがなければ、両親の生活そのものが困難になるという、重い責任を背負い続けているのです。
結婚・家庭を諦めた人生設計
このような状況下で、彼女は結婚や家庭を持つという自身の人生設計を描くことさえできませんでした。「誰がこんな私と付き合って、結婚してくれるだろう。私が男でも、私のような人は選ばない」と、自己肯定感が低下している様子を打ち明けています。周囲の友人たちが家庭を築き、子どもを育てながらそれぞれの人生を歩んでいるのに対し、彼女は孤立感を深めています。
彼女は「両親が亡くならなければ、この生活から解放されることはない気がする」と、絶望的な心境を語りました。考えれば考えるほど、自分の人生が哀れで情けなくなり、最近は本当に苦しいと投稿を締めくくっています。
韓国社会に問いかける家族責任のあり方
この女性の告白に対し、ネット上では共感と同時に様々な議論が巻き起こっています。多くの人々からは「本当に頑張ってきたんだね」「親を支えるのは美徳かもしれないけど、限度がある」「心が痛い」「自分の人生を大切にしてほしい」といった応援や同情の声が寄せられました。
一方で、「自分の人生の責任は自分でしか取れない」といった、より現実的な意見も上がっています。彼女の個人的な苦境は、韓国社会に根深く残る“親への経済的依存”や“家族間の責任のあり方”という普遍的な問いを投げかけています。若者が親の老後の生活を支えるという文化的・社会的背景が強い韓国において、個人が背負う家族の重荷と、自己の人生を犠牲にすることの是非が問われる深刻な問題となっています。
参考文献
- KOREA WAVE/AFPBB News (https://news.yahoo.co.jp/articles/dc1f7fe0ea448363e628912e5135d3ab776a2220)