山尾志桜里氏、参院選落選後の発言に批判殺到 「女性問題にすり替えるな」の声

7月20日に投開票が行われた参院選で、東京選挙区から無所属で立候補した山尾志桜里元衆院議員(51)が落選した。全国最多の候補者32人が競い、欠員補充を含む7議席を争う激戦区での挑戦だったが、政界復帰は果たせなかった。落選直後に彼女が述べた、国民民主党による公認取り消しに関する“主張”が、現在、世間からのひんしゅくを買っている状況だ。

参院選出馬の経緯と公認取り消しの背景

山尾氏は当初、今回の参院選において国民民主党からの比例代表での立候補が予定されていた。しかし、6月10日に開かれた出馬会見では、過去に報じられた不倫疑惑、ガソリン代の不正計上問題、議員パスの不正利用といった数々の醜聞に関する質問が集中。山尾氏からの十分な説明がなされなかったことで批判が相次ぎ、国民民主党は急遽彼女の公認を取り消す決定を下した。

同党を離党した山尾氏は、7月1日に無所属での出馬を表明。選挙戦では、女性天皇の容認や、戦力保持および交戦権を否定する憲法9条2項の改正を訴え、自身の政治信条を前面に出して戦った。

国民民主党の公認取り消しを受け、無所属で参院選に出馬した山尾志桜里元衆院議員国民民主党の公認取り消しを受け、無所属で参院選に出馬した山尾志桜里元衆院議員

落選後の「反省会」での発言内容

7月21日に配信されたニュース番組『ABEMA Prime』では、参院選候補者による反省会が開催され、山尾氏も出席した。番組冒頭でテレビ朝日の仁科健吾アナウンサーから「参院選を振り返ってどうでしたか?」と問われると、山尾氏は「あっという間でしたね、私はね。ジェットコースターみたいでした」とにこやかにコメント。

今回の選挙結果については、「今回は本当に演説1本になってしまったのと、出馬を決めたのが7月1日だったので、20日間という時間だったんですよね」と、タイトなスケジュールを言及した。さらに「いわばドブ板というか、見て・聞いて・話すみたいな。3回くらいタッチポイントがないと人の心って動かないので、タッチポイントが上滑りの状態で3週間が終わってしまった」と述べ、有権者へのアプローチ不足を反省点として挙げた。

一方、仁科アナから「国民民主党に対して何か思うことはありますか?」と問われると、山尾氏は次のように主張した。

「今回の国民民主党の(公認)取り消しって、やっぱり特に女性候補者に対する政党の扱い問題っていうのをすごく浮き彫りにしたんじゃないかなという風に思っていて。私自身はそれでも10年間、人脈もあるいは経験も多少なりともあったのでね。取り消しの後に“こうこう、こういうことがあって”と、全部自分で説明もしたし、仲間もいたのでなんとか無所属の戦いを進めることができて」

「あのまま終わってしまうと、本当に選挙が怖くて触れないっていう。もう、“恐ろしくて堪らん”っていう。特に女性の挑戦者や考えている人からいっぱいメッセージをもらったので、(立候補を決めた理由として)それも1つあります。このまま終われないっていうね、どこかで。受かる受からないは別にしても、やっぱり再起する。その姿はポジティブに見せたいなっていうことは思ったので、それは少なくともできたかなっていう思いはあります」

視聴者からの批判と国民民主党の説明

大きな後ろ盾を失いながらも心機一転、前向きに進む決断をしたという山尾氏。その時の彼女の表情は明るかったが、公認取り消しを「女性候補者に対する政党の扱い問題」と主張したことは、視聴者の共感をあまり得られなかったようだ。

この番組の一部が22日にアベプラのYouTubeチャンネルでも公開されると、コメント欄には山尾氏に対する批判の声が多数見られた。「山尾さんが降ろされたのは女性だからじゃないだろ」「山尾さん、公認されなかったことを女性問題にしないでください。さすがにズルすぎますし、女性に失礼ですし、原因の置き換えのように聞こえてしまいます」「山尾さん、公認取消を女性問題にすり替えないでください。あなた自身に問題があっただけでしょう。国民民主党では女性も活躍しています」といった内容が散見される。

国民民主党の玉木雄一郎代表(56)は、山尾氏の公認取り消しについて、「有権者や全国の仲間、支援者から十分な理解と信頼が得られないと判断した」と説明している。

WEBメディア記者の見解によれば、そもそも2021年に政界を退いた山尾氏の国政復帰を望んだのは、2009年の衆院初当選同期でもある玉木氏だった。そのため当時、玉木氏には「仲間をあっさり切るなんて」といった批判も寄せられていたという。しかし、問題の本質は山尾氏自身にあったと言える。2時間を超える出馬会見で、彼女がお詫びを繰り返すばかりで疑惑に対する具体的な説明がほとんどなかったことが、擁立反対の声が上がる決定打となった。

山尾氏が『ABEMA Prime』で、自身の公認取り消しを「女性候補者に対する政党の扱い問題」と表現したことに対し、今回の参院選では国民民主党から5名の女性候補者が当選している事実がある。「性別を理由に擁立を見送られた」と捉えられかねない発言は、山尾氏が騒動の本質を矮小化していると見られてしまう恐れがある。せめて「有権者から信頼を得られなかった」といった言及が少しでもあれば、視聴者の心証も異なったのではないかという指摘も出ている。

結論

山尾志桜里氏の参院選落選後の発言は、国民民主党からの公認取り消しという自身の政治的困難を、「女性候補者に対する政党の扱い問題」という性差の問題にすり替えていると受け止められ、世間からの共感を呼ぶに至らなかった。今回の件は、政治家が自身の問題と向き合い、国民に対して誠実な説明をすることの重要性を改めて浮き彫りにしたと言えるだろう。


参考文献