日本が米国との関税交渉で「5500億ドル(約80兆円)の投資約束」などで突破口を開いた中で、韓国の終盤の交渉過程でも投資計画が重要な争点に浮上した。韓国政府は1千億ドル(約14.6兆円)規模の投資計画をまとめたが、米国側は満足していないとの観測が出ている。
韓国政府はサムスン、SK、現代自動車、LG、ハンファなど韓国10大グループを中心に投資計画を取りまとめ米国側と協議することが24日伝えられた。投資額は合わせて1千億ドル以上の大規模になるという。韓国政府は米国が要求する非関税障壁解消に呼応しながら購入・投資を通じても関税引き下げを誘導する方針で交渉に臨んできた。
韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が相次いで大企業のトップらに会うには、投資問題などで対米交渉の突破口を探ろうとする意図もあるという解釈が出ている。李大統領は同日、サムスン電子のイ・ジェヨン会長と晩餐を共にし、経済懸案について話し合った。李大統領はこれに先立ち、現代自動車のチョン・ウィソン会長、LGのク・グァンモ会長、ハンファのキム・ドングァン副会長、SKのチェ・テウォン会長とも相次いで会った。
しかし、相互関税の発効予定日(8月1日)が目前なのに、交渉が進展していないとみられるのは、日本が約束した5500億ドルの投資ファンドが先例の役割を果たしているためではないかとの観測が出ている。1千億ドルも大きいが、日本がその数倍のファンドを発表し、韓国の交渉力を弱めたという解釈だ。これに先立って米国は日本に3千億ドル規模のファンド造成を要求したという報道が出ていた。米国はその後、4千億ドルに要求額を増やし、ドナルド・トランプ大統領が終盤に5500億ドルに再び増やした。
これまで貿易不均衡と非関税障壁の解消、市場開放を関税交渉の名分として掲げてきた米国政府が、同盟国である韓国と日本を相手に巨額の投資金を露骨に要求しているのが現実だ。韓国政府関係者は「何がもっとできるのか考えなければならない」と話した。大統領室はこの日午前に「2プラス2通商協議」が見送られたことを受け、李大統領が自ら庁舎内の銀行に「民生支援消費クーポン」を申請する行事を取りやめ、緊急対策会議を開いた。
韓国政府は、日本式の投資ファンド造成も天秤にかけているという。ブルームバーグは、韓国政府がこれを検討していると報道した。同メディアはこれに先立ち、ハワード・ラトニック米商務長官が韓国に4千億ドルのファンド造成を提案し、韓国政府は関税率引き下げを引き出そうと日本と似た性格のファンド作りを考慮中だと報じた。しかし、経済規模が日本の半分に及ばない韓国にも米国が似たような規模のファンド造成を要求するなら、それは行き過ぎだというのが韓国側の防御論理にならざるを得ない状況だ。
今後のファンド造成と運営方式をめぐっても議論が再現される可能性が高い。前日、日本の石破茂首相は「政府系の金融機関が出資、融資、融資保証を提供」するファンドに日本国際協力銀行などが参加すると明らかにした。発表額ほどの投資が行われず、対米投資に対する政策金融次元の貸出保証などが重要な役割を果たしうるという意味だ。しかし、ラトニック長官などはファンドの運営を米国が主導し、いつでも資金を使うことができるというふうに説明しているためだ。
韓国が対米投資ファンドを設ければ、国外の投資と輸出を支援する韓国投資公社、韓国輸出入銀行、韓国産業銀行、韓国貿易保険公社などが参加する可能性が取り沙汰されている。
イ・ボニョン、パク・スジ、オム・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )