「ポスト石破」への視線:国民が「首相になってほしくない」自民党議員は誰?

7月20日に投開票が行われた参院選において、自民党・公明党の与党は昨秋の衆院選に続き過半数を割り込む大敗を喫しました。これを受け、石破茂首相(68)は23日、麻生太郎最高顧問(84)、菅義偉副総裁(76)、岸田文雄前首相(67)という首相経験者3人との異例の会談後、記者団に対し「強い危機感を共有した」と説明しました。同日に一部で報じられた8月中の退陣については否定したものの、与党内からは「政権を下野すべき」との声も報じられるなど、“石破おろし”の動きは依然として収まる気配を見せず、「ポスト石破」選びが水面下で本格化している可能性も指摘されています。

こうした状況を受け、日本ニュース24時間編集部はWEBアンケートツール「Freeasy」を通じ、選挙権を有する全国の18歳以上の男女1000人を対象に、昨年9月の自民党総裁選に立候補した石破首相を除く8名の自民党議員の中から、次期首相に「なってほしい自民党議員」と「なってほしくない自民党議員」に関する緊急アンケートを実施しました。本稿では、国民が「首相になってほしくない」と回答した自民党議員の結果とその背景について詳しく分析します。

緊急アンケート結果と背景:「首相にふさわしくない」の声

今回のアンケートは、現下の政治情勢に対する国民の不満や懸念を浮き彫りにするものです。特に、与党の大敗が「ポスト石破」の議論を加速させる中、国民がどのような資質や政策、言動に対して懸念を抱いているのかを探ることは、今後の政局を理解する上で極めて重要です。昨年9月の自民党総裁選で票を集めた有力候補たちが、今回のアンケートでどのような評価を受けたのか、具体的な結果を見ていきましょう。

共同第2位:河野太郎氏と小泉進次郎農林水産大臣が抱える課題

緊急アンケートで同率第2位に選ばれたのは、河野太郎氏(62)と小泉進次郎農林水産大臣(44)でした。昨年の総裁選では、河野氏が1回目の投票で8位(30票)、小泉氏が3位(136票)と、それぞれ異なる支持状況でしたが、今回の「首相になってほしくない」という視点からは、共通の懸念が浮上しています。

河野太郎氏:改革への評価とデジタル政策の波紋

「ポスト石破」への視線:国民が「首相になってほしくない」自民党議員は誰?

日本の政治家、河野太郎氏(右)と小泉進次郎氏(左)の肖像写真。国民が「首相になってほしくない」と回答した自民党議員に関する緊急アンケート結果を説明する文脈で使用。

これまで外務大臣、規制改革担当大臣、デジタル大臣などを歴任してきた河野太郎氏は、行政手続きにおける「押印」や「フロッピーディスク」の廃止、ライドシェアの導入など、その“改革派”としての姿勢で知られています。しかし、最近ではマイナ保険証への一本化を強力に推進したものの、導入に約9000億円という巨額のコストが計上された上、現場でのシステムトラブルが相次いだことで、世論からは否定的な声が多数上がりました。

また、X(旧Twitter)では250万人近いフォロワーを抱え、その発信力は評価される一方で、自身を批判したユーザーを「ブロック」する行為がたびたび問題視され、「ブロック大臣」という不名誉な呼び名が付いたこともあります。今回のアンケートでは、こうした世論に対する態度への抵抗感や、デジタル化推進における強引な印象を抱く回答が多く見られました。具体的には、「デジタルとかわからないことを言ってマイナンバーカードを保険証にしたおかげで困っている国民のことをわかってないそのために迷惑する人の気持ちが判っていない」「マイナンバーカードのごり押しで嫌気が リーダーにふさわしくない」「ブロックするから」「自分と異なる意見を排除している姿勢が垣間見えるので」といった声が寄せられています。

小泉進次郎農林水産大臣:人気と実力のギャップ

米の価格高騰に多くの国民が苦しむ中、失言で事実上の更迭となった江藤拓氏に代わり、今年5月に農水相に就任した小泉進次郎氏。政府備蓄米を直接小売業者に売り渡す「随意契約」を導入し、農水省は7月22日、全国のスーパーで販売される米の価格(5キロ)が半年ぶりに3500円台に下がったことを発表しました。

しかし、備蓄米の量には限りがあり、抜本的な解決には程遠いのが現状です。小泉氏は現役閣僚の中では若く、フレッシュなイメージで幅広い世代から人気を集める一方で、意味をなさない言葉を繰り返すことが“進次郎構文”と揶揄されたり、実績面での不安が指摘されることも少なくありません。今回のアンケートでは、そうした人気と実力の“ギャップ”を憂う声が上がりました。「一般市民の人気がダントツにありますが、議員、大臣としての経験があまりにも足りなすぎます」「人気が先行し過ぎで、能力が伴っていない」「何かパフォーマンスが目立ちすぎて嫌な感じがするし、実際は能力があまり高くない!」といった意見が寄せられました。

第1位:保守強硬派、高市早苗氏への懸念

そして、今回のアンケートで「首相になってほしくない自民党議員」の第1位に選ばれたのは、高市早苗前経済安保担当相(64)でした。総裁選では1回目の投票で首位に立ったものの、決選投票で石破氏に21票差で敗れた経緯があります。

高市氏は、2022年に亡くなった安倍晋三元首相の路線を継承する積極財政派で、改憲論者という、党内でも屈指のタカ派として名高い人物です。選択的夫婦別姓導入への反対など、安倍氏と共通する部分が多く、安倍氏を支えた岩盤保守層からの支持も厚いことで知られています。

“対中強硬派”としても名を馳せ、石破政権下で行われた中国人の日本滞在ビザの緩和措置について、安全保障上のリスクを指摘しました。また、首相・閣僚の靖国神社参拝には、中国からたびたび反発が起こりますが、高市氏は首相に就任した場合でも、“普段通り淡々と”参拝する意向を昨年の総裁選前に示していました。今回のアンケートでは、高市氏の保守的な価値観への抵抗や、外交上の不安を挙げる回答が多く見られました。「右傾化しそうだから」「靖国参拝でアジアと悪くなりそう」「あまりにも右寄りなので国際的には反感を招かないか心配だ」「中国との外交不安があるから」「偏見ではなく、いまの状況を切り開くには「女性首相」ではなく、保守的でもない、野党の意見を聞きバランスの取れた政治を進められる首相が良い」といった懸念が示されています。

支持と反発が交錯する政治家の現在

興味深いことに、高市早苗氏は同時に行った「首相になってほしい自民党議員」ランキングでも1位に選ばれており、批判的な層がいる一方で熱烈な支持層を獲得していることがうかがえます。これは、彼女の明確な政治姿勢が、国民の間で評価が二極化している現状を反映していると言えるでしょう。

今回の緊急アンケート結果は、国民が次期首相に求める資質や、現在の政治家に対して抱く懸念を浮き彫りにしました。特定の政策推進における強引さや、世論に対する態度、あるいは経験や実績、そして外交姿勢や価値観といった多岐にわたる側面が、国民の評価に大きく影響していることが示されています。

結論:次期首相選びと国民の期待

今回の緊急アンケートの結果は、参院選での与党大敗を受け、混迷を深める「ポスト石破」を巡る自民党内の動きに対し、国民がどのような視点で見ているのかを明確に示しています。河野氏のデジタル政策の課題、小泉氏の人気と実力のギャップ、そして高市氏の保守的な姿勢に対する懸念は、それぞれ国民が現在の政治家たちに抱く不満や不安の象徴と言えるでしょう。

特に、高市氏のように「なってほしい」と「なってほしくない」の両ランキングで上位に入る政治家がいることは、国民の価値観が多様化し、リーダーシップへの期待も複雑であることを物語っています。自民党が次期首相を選出するにあたり、今回のアンケート結果に示された国民の声をどのように受け止め、政権運営に反映させていくのかが、今後の重要な課題となります。国民の支持を得られる新たなリーダーの選出は、日本政治の安定と発展に不可欠な要素となるでしょう。


参考文献