元迷惑系YouTuberとして知られるへずまりゅう氏が、奈良市議会議員選挙で当選を果たしたことは、ネットユーザーに大きな衝撃を与えています。定数39に対し55人が立候補する激戦区において、へずま氏は55人中3位となる8320票を獲得し、見事議席を手に入れました。過去2度の挑戦では「泡沫候補」扱いされ惨敗した彼が、なぜ今回は当選を勝ち取れたのでしょうか。ネットメディア研究家の城戸譲氏の分析なども交え、その背景を探ります。
迷惑系YouTuberから政治の舞台へ:異色の当選
今回の奈良市議選の結果は、同日行われた参院選での参政党の躍進と並び、多くの注目を集めました。へずまりゅう氏は、参政党候補(1万985票)、維新候補(8780票)に次ぐ3位での当選であり、4位が約7000票、5位が5000票台であったことを踏まえると、その得票の強さが際立っています。
しかし、へずまりゅう氏の当選を受け、SNS上では「世も末だ」「民度の低下」といった否定的な意見が多数を占めています。多くのネットユーザーが、YouTuber時代の彼の「迷惑行為」を引き合いに出し、「人間の本質は変わらない」といった見方をしているためです。この異色の当選は、社会にさまざまな問いを投げかけています。
奈良市議会議員選挙で当選確実となり、支持者らと喜びを分かち合うへずまりゅう氏。元迷惑系YouTuberが政治の舞台で活躍する異例の瞬間を示す一枚。
「鹿を守る」が票に繋がった?:当選の背景にある戦略
へずまりゅう氏が今回の選挙で掲げたキャッチフレーズは「外国人から鹿さんと市民を守る」でした。これは、彼の選挙活動の大きな柱となり、有権者の関心を引きました。2024年夏頃から、彼は奈良公園を拠点に「鹿パトロール」を頻繁に実施。外国人観光客による奈良の鹿への不適切な行為をSNSに投稿する活動を継続的に行っていました。
この活動は、地域の問題に深く関わる姿勢を示すものとして、一部の市民に響いたと考えられます。さらに、2025年1月には奈良への移住を発表し、地域に根差した活動家としてのイメージを確立しようと努めました。こうした一連の行動が、今回の出馬と当選へと繋がったと見られています。
過去の「迷惑行為」と社会の評価
へずまりゅう氏の当選に際し、彼の過去の行動が再びクローズアップされています。最も有名なのは2020年に発生した、スーパーマーケット店内での会計前の刺身を食べる迷惑行為です。これ以外にも、衣料品店での不当な返品要求動画を投稿するなど、数々の問題行動を起こし、窃盗や威力業務妨害の疑いで逮捕されました。これらの行為に対し、2022年3月には有罪が確定しています。
このような過去があるにもかかわらず当選したことに対し、前述の通りSNSでは「民度の低下」といった厳しい意見が多く見られます。彼の当選は、有名人であれば過去の行状に関わらず一定の支持を得られるという、現代社会の新たな側面を示唆しているのかもしれません。
専門家が分析するへずまりゅう氏当選の要因
ネットメディア研究家の城戸譲氏は、へずまりゅう氏が2021年、2023年の選挙で「泡沫候補」として惨敗したにもかかわらず、今回当選を果たした背景には3つの要素がプラスに働いたと分析しています。その具体的な内容は本文中では詳細に述べられていませんが、へずま氏の「鹿を守る」という特定のテーマへの注力、SNSを通じた継続的な活動、そして従来の政治家とは異なる「異色さ」が有権者の目に留まった可能性が考えられます。
へずまりゅう氏の奈良市議会議員としての今後の動向は、社会の大きな関心事となるでしょう。彼の当選は、インターネットと社会、そして政治の関係性について、私たちに深く考えさせる出来事と言えます。
参考文献:
- 元迷惑系YouTuber「へずまりゅう」奈良市議選で3位当選の衝撃…専門家が分析する「泡沫候補」を脱した3つの要因 (Yahoo!ニュース, PRESIDENT Online)
- 奈良市議選の当選確実で喜ぶへずまりゅう氏=2025年7月21日 (朝日新聞社/時事通信フォト)