【全2回(前編/後編)の前編】
SNSをあまり利用しない人にとっては、怪談のような結果だったのではあるまいか。7月20日に投開票を迎えた参院選で、破竹の勢いだった参政党。“日本人ファースト”を掲げ、過激な発言で話題を振りまく彼らに熱狂した日本人の、異常なひと夏の光景に迫る。
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宵の口にもかかわらず、まだ明るくうだるような暑さの東京・芝公園。参院選の投開票を翌日に控えた7月19日、参政党のマイク納めにはせ参じた聴衆には、支持者ばかりでなくアンチもいる。主催者発表によると聴衆の数は2万人にも及んだという。
東京選挙区から立候補した扇さや氏(43)の演説が終盤にさしかかると、東京タワーを背にした聴衆から“さやコール”が沸き起こる。感極まったさや氏は、
「今まで生きてきて一番幸せな日です。明日必ず勝利を手にして、私をみなさんのお母さんにしてください! 日本人のために働くお母さんにしてください!」
と、一般人には理解不能な言葉を絶叫する。
最後に登場したのは、神谷宗幣(そうへい)代表(47)。割れんばかりの歓声と怒号が轟く中、彼が語気を強めるたびに、ボルテージの上がった聴衆から拍手喝采が起こり、指笛が鳴り響く。
演説のシメは、お決まりのコールだ。神谷代表が音頭を取る。
「アンチのみなさんもやっていいですよ。せーの! イチ、ニ、参政党!」。
育児世代にもアピール
ほんの数カ月前までは、知る人ぞ知る存在に過ぎなかった参政党。参院選での躍進ぶりには、だれもが目を見張ったに違いない。
政治部デスクが解説する。
「参政党は今回の選挙で全国比例と選挙区それぞれ7議席ずつ、計14議席を獲得しました。この改選では自民党、立憲民主党、国民民主党に次ぐ議席の多さで、公明党や日本維新の会を優に上回っています。まさに、自民大敗の立役者といえるでしょう」
“日本人ファースト”をキャッチフレーズとするこの政党は、
「帰化・永住権の要件の厳格化を含む外国人政策や減税を掲げて支持を伸ばしました。また、学校給食の有機食材使用推進などのオーガニック路線や、1人月10万円の子育て教育給付金をうたい、育児世代にもアピールしています」(同)