日本人の朝に寄り添い続けてきた「連続テレビ小説」、通称「朝ドラ」。「あんぱん」第88回(2025年7月30日放送)のレビューをお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、10年以上にわたりレビューを続けてきた専門家が、本作の魅力と詳細な展開を解説。嵩(北村匠海)とのぶ(今田美桜)の恋の行方を中心に、「見なくてもわかる、読んだらもっと見たくなる」内容でお届けします。
嵩からの正式プロポーズ:のぶの複雑な心境
「ふつつかものですけんどよろしくお願いします」――のぶ(今田美桜)の返事を受け、ついに嵩(北村匠海)からの正式なプロポーズが成立しました。優柔不断な一面も見せてきた嵩ですが、彼なりに二人の未来を真剣に考えていたことがうかがえます。
「三星百貨店」への就職と、漫画家への情熱
嵩が大手「三星百貨店」への就職を決めたと聞いたのぶは、心から喜べない複雑な表情を見せました。高知新報社を辞めてまで東京で漫画家を目指していたはずの嵩が、なぜ安定した道を選んだのか。嵩は、のぶとの結婚を現実のものとするために定収入が必要だと考え、恋人や妻に依存せず自立した生活基盤を築こうとします。この姿勢は彼の成長と責任感を示しますが、のぶとしては漫画家一筋で突き進んでほしい思いがあり、葛藤が見て取れます。この場面でののぶの反応は、かつての猪突猛進な姿から成長し、嵩への深い愛情ゆえの慎重さ、あるいはしおらしさが見て取れました。次郎(中島歩)との場面でも、のぶのこうした変化が垣間見えています。
妨げられるプロポーズの言葉
嵩は「どんなに忙しくても漫画は描くから。まずはお給料を貯めて一緒に暮らせるところに引っ越そう」と、のぶに真摯に誓います。そして、さらに大切な言葉を続けようとしたその時、突然現れた浮浪児たちによって邪魔されてしまいます。肝心な場面で誰かが現れて邪魔をするという、コントのような展開は今週のエピソードを通して繰り返し描かれており、特に浮浪児たちが小さな窓から顔を覗かせる演出は、細部にわたる工夫が感じられ、視聴者の笑いを誘いました。
連続テレビ小説「あんぱん」のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)が会話する場面
今回の「あんぱん」第88回は、嵩とのぶの恋の進展、現実との葛藤、そして夢への向き合い方が描かれました。安定を選びつつも漫画家を諦めない嵩、彼を理解し受け入れようとするのぶの成長が見どころです。果たして二人は結ばれ、夢を追い続けられるのか。今後の展開にぜひご注目ください。
参照元:Yahoo!ニュース