伊東市田久保市長、学歴詐称疑惑中の辞職撤回と津波注意報下の会見強行が資質を問う

静岡県伊東市の田久保眞紀市長(55)は、学歴詐称疑惑が深まる中で表明していた辞職の約束を覆しました。7月31日に辞職撤回を表明した記者会見は、当初伊東市役所での開催予定でしたが、津波注意報発令中の前夜に急遽、伊東港に隣接する施設へと場所が変更されました。会見を主催した後援会が、地元記者クラブ以外の記者の排除を目的として、この危険な場所への変更を強行したのではないかとの疑念が生じています。市長の資質、特に危機管理能力と透明性に対する疑問が深まっています。

伊東市田久保市長の資質問題を示すイメージ。伊東市田久保市長の資質問題を示すイメージ。

異例の会見場所変更とその不透明な意図

7月28日に設定されたこの重要な記者会見は、当初、31日午後8時から高台にある伊東市役所8階の大会議室で行われる予定でした。田久保市長が「7月中」の辞職意思を明言していたことから、月の最終日に去就を表明するタイミングとして選ばれたとみられます。市長の進退という公共性の高い議題を扱う場であるため、本来であれば市が主体となって市役所で開催すべきでした。

しかし、会見前日の30日夜、地元記者クラブ加盟13社に対し、会見場所を伊東港の一角にある「伊東市観光会館」に変更するとの通告が届きました。地元記者によると、田久保市長は過去にも7月7日の会見を同観光会館で行い、その際は後援会が主催し、地元記者クラブ加盟社以外の記者の入場を拒否していたとのことです。今回は市役所での開催と見られていたにもかかわらず、非常時に不自然な形で会見場所が変更されたことは、記者排除の意図があったのではないかとの憶測を呼んでいます。

記者からの問いかけに無言で赤い車に乗り込む伊東市田久保眞紀市長。記者からの問いかけに無言で赤い車に乗り込む伊東市田久保眞紀市長。

津波注意報下の危険な会見地選定と安全軽視

会見場所の変更が通告された30日は、朝にカムチャツカ半島付近で発生した巨大地震により、伊東市沿岸にも津波警報が発令されていました。午前9時40分には津波浸水想定区域の住民に避難指示が出され、実際に伊東市には20センチの津波が到達。幸い浸水被害は免れたものの、JR東日本の伊東線が全線で運行を停止するなど、市民生活に大きな混乱をもたらしました。静岡県も伊東市に災害救助法を適用し、避難所設置費用を国と県で負担する措置を講じるほどの状況でした。

津波警報が津波注意報に切り替わった30日午後8時45分の直後、海辺の観光会館への変更通告があったと地元メディア関係者は証言します。伊東市観光会館は岸壁からわずか20メートルほどの距離にあり、玄関付近の海抜は4.2メートルと非常に低い位置にあります。建物の玄関前には避難経路を示す看板があるものの、津波浸水想定区域外へ避難するには最短で600メートルもの移動が必要です。目の前の岸壁のそばには、陸への避難が間に合わない場合に備えた「津波避難救命艇」が設置されており、この場所が津波に対して極めて脆弱で危険性が高いことを示しています。このような状況下での会見場所の選定は、公衆の安全に対する市長の軽視と、危機管理意識の欠如を露呈していると言えるでしょう。

まとめ

伊東市田久保市長の一連の行動は、その市長としての資質、特に説明責任、透明性、そして何よりも市民の安全を守るという危機管理能力において、深刻な疑問符を投げかけています。学歴詐称疑惑と辞職撤回に加えて、災害発生時の公共性の高い会見を危険な場所で強行し、記者排除の疑いが生じる形で実施したことは、市長への信頼を著しく損なうものです。今後の動向が注目されます。

参考文献