参院選「外国人政策」:元TBSアンヌ遙香が抱く社会への問い

元TBSアナウンサーのアンヌ遙香さん(旧名:小林悠)が、活動拠点を故郷北海道へ移して初の連載で、2025年参議院選挙を振り返ります。今回の選挙で主要な争点の一つとなった「外国人政策」。アンヌさんはコメンテーターとしての洞察と、外国人である父との個人的な対話を通じて、日本社会が直面する多文化共生とアイデンティティの複雑な問いを投げかけます。

2025年参議院選挙の動向と主要争点「外国人政策」

2025年7月20日に投開票された参議院選挙では、125議席を巡る激戦の末、自民・公明両党は過半数を維持できず、「少数与党」の構図となりました。これは、今後の国会運営において与党がこれまで以上に厳しい局面を迎えることを示唆しています。

アンヌ遙香さんの故郷、北海道選挙区では3議席が争われ、自民党、立憲民主党、国民民主党、参政党が激しく競合。自民党の現職が早々に当選確実となる中、残る2議席を巡る熾烈な接戦が繰り広げられました。最終的に自民党が3議席全てを確保し、いわゆる第三極の議席獲得は叶いませんでした。

元TBSアナウンサーで、参院選の開票速報番組にコメンテーターとして出演したアンヌ遙香さん元TBSアナウンサーで、参院選の開票速報番組にコメンテーターとして出演したアンヌ遙香さん

今回の参議院選挙において、特に大きな争点として浮かび上がったのが「外国人政策」です。社会のグローバル化と多様化が進む中で、外国人労働者の受け入れ、移民、そして在留外国人との共生に関する政策のあり方は、国民の間で活発な議論を呼びました。一部からは「日本人ファースト」といった言説も聞かれ、排他的な感情と共生の理念が交錯する様が浮き彫りになりました。

コメンテーターの視点と父の問い:多文化共生への課題

アンヌ遙香さんは、今回の参議院選挙で地元北海道のHBCテレビ開票速報番組にコメンテーターとして出演する機会に恵まれました。TBSアナウンサー時代以来の選挙特番への関与は、彼女にとって深い熱意を伴うものであり、有権者に選挙の動向を伝える重要な役割を再認識する場となりました。

活動拠点を故郷北海道へ移し、新たな生活をスタートさせたアンヌ遙香さん活動拠点を故郷北海道へ移し、新たな生活をスタートさせたアンヌ遙香さん

番組出演中、アイルランド系アメリカ人である彼女の年老いた父は、自宅で娘の発言を見守っていました。アンヌさん自身は日本国籍を持ち選挙権がありますが、父は長年日本に暮らしているものの選挙権を持っていません。開票速報を終え帰宅した翌朝、父から発せられた言葉が彼女の心に深く刻まれました。「今回の選挙で受かった自民党の議員さんも、外国人がうんぬんと発言をしていたが、あれは何なのだ」と。

日本と北海道をこよなく愛し、何十年も大学で教鞭をとり、数千人もの学生を育成し、教授退官後も地元の高校でボランティアとして英会話を教え、多額の税金を日本に納めてきた父。彼のような人物に対し、一部で唱えられる「日本人ファースト」という言説が存在する現状を、アンヌさんは父に説明せざるを得ませんでした。その時の彼女の胸中には、言葉にできない複雑な感情が交錯していたことでしょう。この父の問いかけは、私たち日本社会が多文化共生という普遍的な課題にどう向き合うべきかを示唆しています。

結び:多様性を受け入れる社会へ

今回の参議院選挙で浮上した「外国人政策」は、単なる政治的議論に留まらず、アンヌ遙香さんの個人的な経験を通して、日本社会の根深い課題を浮き彫りにしました。日本に貢献する外国人に対し、時に排他的な言説が向けられる現状は、多様性が進む社会において、私たち一人ひとりが多文化共生について深く考え、寛容な心を持つことの重要性を問いかけています。真に豊かな社会とは、様々な背景を持つ人々が共存し、互いを尊重し合える場であるはずです。

参照元

女子SPA!アンヌ遙香さん連載「参院選の争点に「外国人政策」…父からかけられた言葉」
https://news.yahoo.co.jp/articles/6e79c18fbc093432e5f7f5fa7721d0ba3d9b22cc