テレビ朝日の人気番組「ビートたけしのTVタックル」(日曜正午)が3日に放送され、タレントのビートたけし氏(78)が、日本の政治の「多党化」現象に率直な戸惑いを示しました。7月の参院選では自民党が敗北する一方で、参政党や国民民主党が躍進。これまでの「与党対野党」というシンプルな構図が崩れ、複数の党が台頭する新たな時代が到来したことに対し、たけし氏は「昔は、与党と野党ははっきりして分かりやすかった。与党がだめなら野党に政権が移れば、と思ったけど、(今は)野党がなんだかいっぱいあって。何なの、これ?」と、その複雑さに疑問を投げかけました。
参院選後の「多党化」とビートたけしの見解
番組は「石破降ろしVS石破辞めるな 参政党躍進で日本は右傾化へ!?徹底討論SP」と題し、現在の日本の政治情勢を特集しました。この特集は、先の参院選で自民党が大きく議席を減らす一方、新興の参政党や中堅の国民民主党が勢力を伸ばしたことで、日本の政界が従来の二大政党制の枠を超え、「多党化」の様相を呈している状況を背景にしています。ビートたけし氏のコメントは、このような変化が一般の有権者にとって理解しにくいものとなっている現状を的確に表しています。
ビートたけし氏、日本の「多党化」政治への戸惑いを語る
石破氏の進退を巡る議論
番組では、自民党内における石破氏の進退問題、いわゆる「石破降ろし」についても深く掘り下げられました。ゲストとして出演した元自民党幹事長の石原伸晃氏は、衆院選、都議選、参院選と3回続けて選挙で敗北している点を挙げ、「民主主義国家なので選挙結果は国民の意思。国民のみなさんが石破さんにNOを突きつけた以上は辞めるべきだと思う」と述べ、石破氏の辞任を主張しました。これに社会学者の西田亮介氏も同調し、「辞めて頂くのが分かりやすい。いかんせんどこかで行き詰まるのは明らか。早いか遅いか、時間の問題」と、早期の決断を促しました。
一方で、弁護士の結城東輝氏は異なる見解を示しました。「続投せずに辞めるなら、また短期間で首相が替わる。この国は、行政のトップがコロコロ替わる」と指摘し、頻繁な首相交代が国政の不安定化を招くリスクを強調しました。さらに、「これからは2大政党制の夢がついえ、多党制の時代が当面続く。恐らく、1党が多数派をとる選挙はほぼこない。毎回だれかが責任をとって、選挙のたびに首相を辞め続ける未来がくるのか。私は続投してもいいのではないかと思う。まだ比較第1党でもあるので」と述べ、多党制下での首相の責任論について新たな視点を提示しました。
自民党内の「石破降ろし」への苦言
三者の活発なやり取りを受けて、エッセイストの阿川佐和子氏は、自民党内の「石破降ろし」の動きに対し苦言を呈しました。「責任をとって(石破首相は)辞めるべきとおっしゃるんだけど、(VTRに登場した)自民党のあの人たちの顔をみると、自分の親しい人に総理になってほしいという下心しか見えてこない」と、党内力学や個人的な思惑が背景にある可能性を指摘し、この問題が単なる政治的責任論を超えた複雑な側面を持つことを示唆しました。
まとめ
今回の「TVタックル」での議論は、7月の参院選を経て顕在化した日本の「多党化」時代における政治の複雑さ、そして特定の政治家の進退を巡る責任論が、いかに多様な視点と利害関係の中で語られているかを浮き彫りにしました。ビートたけし氏の素朴な疑問や、各専門家の多角的な分析は、現代日本の政治が直面する課題と、それが国民に与える影響について深く考えるきっかけとなるでしょう。