中国・長城汽車、1050馬力級ハイブリッドトラック「Gシリーズ」を正式発表

中国の自動車大手・長城汽車(GWM)は、2024年6月25日に大型ハイブリッドトラック「長城Gシリーズ」を同国市場で正式に発売しました。特に注目されるのが、最高出力1050馬力という圧倒的な動力性能を誇る「長城G1050」です。このモデルは、ディーゼル車と比較して15〜25%もの燃費改善を両立しており、中国の商業車市場に新たな選択肢を提示しています。

長城商用車の新たな挑戦とHi4-Gハイブリッドシステム

長城汽車の大型トラック部門である長城商用車は、2021年に設立された比較的新しい組織です。しかし、中国で長い歴史を持つ大型トラックメーカーである長征汽車を傘下に収め、電動トラックやLNGトラックの開発・生産において緊密に協業を進めています。Gシリーズの開発は2024年に公表され、その先進的な外観デザインに加え、今年に入ってからは独自のハイブリッド技術「Hi4-G」の詳細が明らかになっていました。

Hi4-Gハイブリッドシステムは、パラレル方式、シリーズ方式、そしてこれらを併用するパラレル+シリーズ方式の3つの駆動方式を採用しています。さらに、10種類の走行シチュエーションに応じて、システムが状況をフィードバックし、最適な走行モードを自動で選択するというインテリジェントな機能も搭載しています。

長城汽車が発表した大型ハイブリッドトラック「長城G1050」のフロントビュー長城汽車が発表した大型ハイブリッドトラック「長城G1050」のフロントビュー

G1050の驚異的な性能と燃費効率

Gシリーズの主力モデルである3軸6×4駆動セミトラクタ「G1050」(CZ4250SX46HEV)は、連結総重量40トン、軸距4800mmのシャシーを基盤としています。パワートレインには、12.9リッター直列6気筒の福田カミンズX13NS6B型ディーゼルエンジンと、2基の電気モーターを内蔵した自社開発の8速自動変速機(DHTトランスミッション)を搭載。さらに、容量12.9kWhのNMCリチウムイオン電池が組み合わされています。

X13NS6Bエンジンは最高出力560PSを発揮し、電気モーターは1基あたり定格出力163PS、最高出力245PSを誇ります。これら全てのピークパワーが組み合わされることで、システム最高出力は驚異の1050PSに達します。最大トルクも459kgm(4500Nm)と非常に強力です。

近年、中国の大型トラック市場では、各大手メーカーがフラッグシップモデルの馬力競争を繰り広げ、600PS台後半から700PS台前半、さらには800PSを超えるモデルも登場しています。1050PSを誇るG1050は、この大馬力車市場において十分すぎるほどのスペックを有し、優位性を示しています。

さらに、G1050の大きな強みは燃費性能にあります。累計500万kmに及ぶテスト走行では、ディーゼル車と比較して15〜25%の燃費改善を実現しました。同社の発表によると、国家認証試験では100km走行あたり29.7リットルという優れた燃費値を示しており、これは燃費基準値である100km走行あたり35.8リットルを大幅に下回る、非常に良好な数値です。

市場価格と今後の展開

G1050の車両価格は、日本円換算で1110万円から1279万円と設定されており、これは中国の大手5メーカーが提供するフラッグシップ6×4セミトラクタ大馬力モデル(800PS車を除く概ね1000万円以下)と比較して、かなり高価な部類に入ります。

長城汽車では、この他にもディーゼルエンジンを一回り小さい10リッター・480PSとし、Hi4-Gシステムと組み合わせることで970PSを実現した「G970」もラインナップに追加しています。G970は、3軸6×4セミトラクタに加え、2軸4×2セミトラクタの車型も設定される予定です。

日本のハイブリッドトラック開発と中国市場への示唆

ハイブリッドトラックの開発においては、日本も世界をリードしてきましたが、高電圧バッテリーの重量や価格の高さが普及の課題となってきました。しかし、ハイブリッド技術は、優れたドライバビリティとCO2排出削減、そしてバッテリーEVでは得られない使いやすさと航続距離を両立するポテンシャルを依然として高く評価されています。

本記事は中国市場の動向を扱っていますが、バッテリーEV(BEV)や天然ガス車(NGV)も普及が進む同国において、長城汽車の「Gシリーズ」がどのように受け入れられ、市場に影響を与えるか、今後の展開が大いに注目されます。


Source: https://news.yahoo.co.jp/articles/44cff1ea056ebcb446a130368cb57a204dd87fdc