【英国の断層~総選挙2019(上)】離脱問題に“疲弊” 優先は身近な課題



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 英国の総選挙が12日に行われる。欧州連合(EU)離脱を決めた2016年の国民投票から約3年半。ジョンソン保守党政権は「決められない政治」による離脱問題の膠着(こうちゃく)打開を民意に委ねた。再び重大な選択を迫られた有権者はどんな心境で選挙を迎えるのか。現場から報告する。

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 西部ウェールズの都市レクサム。昼でもシャッターを下ろした店舗が目立つ中心部の通りには、ホームレスが寝そべったり、座り込んだりする光景が広がっていた。バスターミナルの周辺では足元をふらつかせた男性らがおおっぴらに合成麻薬を取引。受け取った男性はその直後、意味不明な奇声を発した。

 「薬物中毒のホームレスが暴れるのは毎日のこと。ゾンビに支配された街のようだ」。バスを待っていた地元の主婦、マレー・ジョーンさん(45)は眉をひそめた。麻薬に限らず、ホームレスによる窃盗や通行人への襲撃も深刻な問題だ。ジョーンさんも襲われそうになった経験がある。

 人口13万人のレクサムは18世紀後半以降の産業革命の時代、石炭の採掘により製鉄業などが栄えたウェールズ北東部の中心都市。だが、ウェールズの経済基盤は現在、イングランドやスコットランドより弱く、1人当たりの国内総生産(GDP)は全国平均以下だ。レクサムも石炭産業の衰退後、目立った産業がない。

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