近年、帰省や長期旅行で実家や観光地に車両を長時間停める際、車両盗難の危険性が高まっています。普段とは異なる環境下での駐車は、ドライバーの警戒心を緩め、盗難被害のリスクを増大させかねません。本記事では、警察庁や日本損害保険協会が発表する最新の統計データに基づき、自動車盗難の現状、特に多発している地域や発生時間帯の傾向を解説し、愛車を守るための注意喚起を行います。
最新データが示す車両盗難の現状:警戒すべき地域と時間帯
帰省や長期旅行で実家や観光地にクルマを長時間停める際、ドライバーは自宅での警戒を緩めがちです。しかし、これらの「慣れない場所」や「油断しやすい場所」こそ、自動車盗難のリスクを高める隠れた危険地帯。コンビニエンスストアやレストランの駐車場、ホテル駐車場などで、一晩のうちに愛車が盗まれる被害が増加傾向にあります。
全国的な車両盗難発生状況:多発地域と顕著な増加傾向
警察庁データ(令和7年1月~5月)によると、車両盗難は特定の地域に集中し、愛知、埼玉、千葉、茨城、神奈川の5県で全国の認知件数の56.8%を占め、関東地方が中心的な多発地域です。特に、前年比での増加が顕著な都道府県は、神奈川県(67%増)、静岡県(153件)、群馬県(180件)、大阪府(277件)、愛知県(567件)をはじめ、広範囲で警戒が必要です。
長期駐車中の車両盗難リスクを示す駐車場に停められた乗用車
日本損害保険協会による2022年~2024年の累積調査でも、愛知県が3年連続で盗難支払い件数トップ。2024年には2499件の車両本体盗難と720件の部品盗難が発生し、車両本体が狙われるケースが圧倒的に多い現状を示唆しています。
盗難発生の具体的な時間帯と場所の傾向
車両本体盗難の発生時間帯は、「深夜から朝(22時~翌朝9時)」が全体の59.3%と最も多く、人目の少ない時間帯を狙った犯行が主流。「日中(9時~17時)」も27.1%を占めており、油断は禁物です。
発生場所については、警察庁の令和6年データで「一般住宅」が42.9%、「駐車場」が27.0%と上位を占めます。神奈川県警データ(令和7年1月~6月、396件)では、自宅駐車場以外の「駐車場」での発生が47.5%と最も高く、次いで中高層住宅、一戸建て住宅と続きます。自宅敷地外での車両管理の重要性が強く示唆されています。
まとめ
本記事で詳述した最新データは、車両盗難が特定の地域や時間帯、そして「慣れない場所」で多発している現状を浮き彫りにしています。特に帰省や旅行時の長期駐車では、警戒心が緩みがちです。愛車を守るためには、常に最新の盗難状況を把握し、油断せず、適切な防犯対策を講じることが不可欠です。この情報が皆様の愛車の安全確保の一助となれば幸いです。
参考資料
- 警察庁「自動車盗難の発生状況」関連データ
- 日本損害保険協会「自動車盗難実態調査」関連データ
- 神奈川県警察「自動車盗難発生状況」関連データ