ベテラン投資家が語る「コロナショック」:歴史的暴落で資産を守る分散投資の教訓

投資先を選ぶとき、何を基準にすればいいのか。投資ブロガーの水瀬ケンイチ氏は、2002年からインデックスファンドなどを毎月積み立て続け、その間に経験した2度の大暴落が「分散投資」の重要性を改めて教えてくれたと語ります。

全世界を巻き込んだ「コロナ・ショック」の勃発

2020年、人類にとって未知の新型コロナウイルス感染症が全世界を襲いました。急性呼吸器疾患等を引き起こすこの感染症は、あっという間に世界的流行(パンデミック)となったにもかかわらず、当初は感染経路すらわからず、特効薬もありませんでした。世界規模の都市封鎖(ロックダウン)や入国制限、様々な行事の延期や縮小など、人類が過去に経験したことのない事態に陥り、同年開催が予定されていた「東京オリンピック2020」までもが史上初めて延期されるという異常事態に世界は震撼しました。見えない敵との戦いで、全世界の株式市場が暴落したのです。これが「コロナ・ショック」でした。約100年前のスペイン風邪まで歴史を遡らないと前例がないパンデミックという異常事態と、株価が急落するスピードが異様に早かったことも、人々の恐怖心をいっそうかき立てました。

コロナショック時の世界経済と株価の変動を示すイメージ画像、S&P500指数下落の象徴コロナショック時の世界経済と株価の変動を示すイメージ画像、S&P500指数下落の象徴

1カ月間でS&P500指数は歴史的下落を記録

世界経済の中心である米国株式市場では、サーキット・ブレーカー(相場過熱による一時取引停止)が連日発動し、株価チャートの下落の角度は鋭く、そのスピードは尋常ではありませんでした。2020年2月19日から3月23日までのたった1カ月ちょっとで、米国S&P500指数は33.9%下落。これほどの急落は歴史的にも珍しいものでした。

当時、すでに18年間積み立て投資を続けていた水瀬氏の運用資産は金額が大きくなっており、そのぶん暴落の金額的ダメージも大きくなりました。いつも「アップダウンは気にしません」と言っていた彼でさえ、さすがに「これはヤバいかも……」と、たじろいだといいます。普段なら冷静に受け止めるはずの市場変動も、そのスピードと規模が尋常ではなかったため、誰もが動揺せざるを得ませんでした。ただ、この感覚は、水瀬氏にとって初めてではありませんでした。

参考文献

  • 水瀬ケンイチ『彼はそれを「賢者の投資術」と言った 水瀬ケンイチのインデックス投資25年間の道のり全公開』(Gakken)