カブトムシの数に異変が
夏の訪れを知らせるセミ。その幼虫が外国人らしき人々に食用として大量に捕獲されている――。その対策として、東京・江東区の猿江恩賜公園が「セミの幼虫を採取しないで」と日英中韓4カ国語で注意書きを張り出したと報じられたのは記憶に新しい。
【写真を見る】大量のカブトムシの死骸が… 意外な真犯人とは?
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一方、夏の昆虫の一番人気は何といってもカブトムシ。その“昆虫の王様”を都会のど真ん中で思う存分観察できると虫好きの間で評判なのが、新宿御苑である。
ところが、今年は異変が起きているという。実際に現場を訪れてみても、樹液に集まっているのはカナブンやクワガタばかり。新宿御苑にはカブトムシが集まるとされるポイントがいくつかあるが、そのすべてが不思議なほど同じような状況なのだ。
子供にカブトムシを見せたいと休みのたびに来園している父子は「今日で3度目だけど、まだ生きているカブトムシには出会えてない」と寂しそうに話していた。
意外な犯人
園内をパトロールしていた職員によると犯人は、なんとカラス。
「朝、明るくなって活動を始めたカラスに食べられてしまうんです。カブトムシの数がもっと増えれば9時の開園時間後にも生き残るようになると思う」
確かに、一部の木の下には数え切れないほどの無残な死骸が。それらには皆くちばしで突かれたらしき穴がいくつも。腹を食べられて上半身だけのまま、まだ動いているものもいる。
ようやく発見できたのは通うこと4日目。他の甲虫たちと一緒にシラカシの樹液を吸っていたメスのカブトムシほか、カラスの魔の手を逃れた生き残りが全部で3匹。ただし、その木の根元にはその何倍もの数の亡きがらが。都会の昆虫が生き延びるのは大変なのだ。
撮影・西村 純
「週刊新潮」2025年8月7日号 掲載
新潮社