名古屋3人行方不明事件の謎:36年間未解決の重要参考人失踪の闇

未解決事件は数多く存在するが、中には有力な手がかりがありながらも決定打に欠けるもの、あるいは謎に包まれ、解決の糸口すら見つからないものもある。36年前に愛知県名古屋市で発生した親子ら3人の行方不明事件は、特に不可解な点が多い。警察による懸命な捜査にもかかわらず、未だ解決に至っていないこの事件は、重要参考人の失踪によって更なる迷宮入りを果たした。

事件の始まり:親子と「同居人」が突如姿を消す

1989年7月26日、愛知県名古屋市千種区城山町に住むルメイヤス・科乃さん(当時30歳)と長男のダライくん(同3歳)の行方が分からなくなった。そして、その後に親子と同居していた長尾宣卓さん(当時34歳)も消息不明となった。事件当日午後、科乃さん親子は名古屋市東区にある科乃さんの父親の職場を訪れ、8月分の生活費を受け取っていた。その際、科乃さんは父親に対し「明日(27日)の夜から4~5日間、四国へ自然食関係のイベント『塩の祭り』を見に行く。私のワゴン車で長尾さんに連れて行ってもらい、向こうではキャンプをする予定」と話していたという。同日の夜には、隣に住むニュージーランド人夫婦にも同様に四国へ行く旨を伝えている。しかし、科乃さんらはその祭りに姿を現すことなく、そのまま行方が途絶えてしまった。

名古屋市親子3人行方不明事件に関する警察の捜査活動名古屋市親子3人行方不明事件に関する警察の捜査活動

不可解な関係と背景:ルメイヤス科乃さんと長尾宣卓さん

科乃さんはオランダ人男性と結婚し、長男ダライくんを授かったが、夫との不仲により1988年4月にオランダから帰国。正式な離婚が成立する前に別居という形で、地元の名古屋での生活を始めていた。そんな科乃さんの心を惹きつけたのが、1989年初め、キャンプ場で偶然知り合った長尾さんだった。長尾さんは大学を中退後、デザイン関係の仕事に就いていたが、当時は無職であった。しかし、自然食や環境保護問題など、二人の関心分野が一致していたことから意気投合し、同年3月から千種区にある科乃さん宅(賃貸の一軒家)で同居を始めていた。彼らの生活費は、会社社長である科乃さんの父親がほとんど負担していたという。

未解決の闇:警察の捜査と重要参考人の失踪

この名古屋市親子3人行方不明事件は、警察が全力を挙げた捜査にもかかわらず、未だ解決の糸口が見つかっていない。特に、明確な重要参考人が存在したにもかかわらず、その人物もまた姿を消してしまったことで、事件は「迷宮入り」となってしまった。この不可解な失踪事件は、36年が経過した今もなお、多くの謎を残したままである。


参考文献

  • 『読んで震えろ!世界の未解決事件ミステリー』(鉄人社、2024年)