NHK会長に就任する前田晃伸氏は不良債権の抜本的な処理に追われ、銀行再編が相次いだ激動期に3行統合による巨大グループのかじ取りを担った。システム障害などで世間の厳しい批判を受けながらも、実直な指導力で、みずほグループ社内外で慕われた。
前田氏は平成14年4月、第一勧業、富士、日本興業の各銀行が12年9月に統合してできた、みずほホールディングス(現みずほフィナンシャルグループ)の社長に就任。就任直後に傘下のみずほ銀行がシステム障害を起こし、金融決済に大混乱をもたらした。
前田氏は富士銀行の出身で、出身母体の違う幹部から辞任を求める声も上がったが、当時を知るみずほ社員は「真面目で指示も的確。リーダーシップがあった」と振り返る。
一方、金融界では「権謀術数にたけ、リアリズムの塊のような人物」(メガバンク関係者)という声も。千葉県船橋市のマイホームを、まだ夜も明けやらぬうちに出て出勤。公私ともにストイックで「およそ贅沢というものに関心がない人」(同)と評されている。