メラニア夫人がハンター氏提訴へ:エプスタイン事件巡る虚偽発言で10億ドル要求か

米国の政界に新たな波紋が広がっています。ドナルド・トランプ前大統領の妻、メラニア・トランプ夫人が、ジョー・バイデン現大統領の次男であるハンター・バイデン氏に対し、自身に関する虚偽の発言によって名誉を傷つけられたとして、その発言の撤回と謝罪を要求する書簡を送付しました。要求に応じない場合、10億ドル(約1480億円)の支払いを求めて提訴すると警告しており、米FOXニュースがこの動きを報じています。この問題は、悪名高いジェフリー・エプスタイン元被告との関連が指摘されており、その動向が注目されています。

メラニア・トランプ夫人。ハンター・バイデン氏への名誉毀損訴訟を示唆。メラニア・トランプ夫人。ハンター・バイデン氏への名誉毀損訴訟を示唆。

ハンター氏の発言内容とメラニア夫人の反論

今月5日、米国のネットメディアのインタビューに応じたハンター・バイデン氏は、拘留中の2019年に死亡した米富豪ジェフリー・エプスタイン元被告が、メラニア夫人をドナルド・トランプ氏に紹介したと主張しました。さらに、トランプ夫妻とエプスタイン元被告とのつながりは「とても広く深い」と述べ、両者の関係性に踏み込んだ発言を行いました。

これに対し、メラニア夫人側は6日付で書簡を送り、ハンター氏の発言は「虚偽の中傷で極めて下品だ」と厳しく批判。発言を撤回し謝罪しなければ、法廷での訴訟に踏み切る構えであると通告しました。ドナルド・トランプ氏自身も14日のラジオ番組で、メラニア夫人に対しハンター氏を提訴するよう勧めたことを明らかにしています。しかし、同日配信された別のインタビューで、ハンター氏は謝罪を「しない」と明言しており、両者の対立は深まるばかりです。

トランプ氏とエプスタイン元被告の関係、そして事件の背景

ジェフリー・エプスタイン元被告は、長年にわたり多数の未成年者への性的虐待を繰り返していたことで知られ、彼が所有していたカリブ海の島では、富豪仲間や要人らに女性たちを斡旋していたとされています。元被告は2019年に拘留施設内で首をつった状態で発見され死亡しましたが、その死については口封じのための殺害ではないかとの臆測や、斡旋相手の名を記した「顧客リスト」の存在が繰り返し取り沙汰されてきました。特に、トランプ氏の支持層の間では、政府がエプスタイン事件に関する情報を隠蔽しているとの疑念が根強く存在しています。

ドナルド・トランプ氏は大統領選挙期間中、顧客リストの公開を含むエプスタイン事件の全容解明を公約に掲げていました。しかし、トランプ政権は今年7月、元被告の死因は改めて自殺であったと断定し、リストの存在も否定。これにより、支持層の間に不満が募る中、トランプ氏は事件の「幕引き」を図ろうとしていると見られています。

エプスタイン事件の「幕引き」とトランプ政権

エプスタイン元被告とトランプ氏の関係を巡っては、このところ新たな報道が相次いでいます。例えば、司法長官が今年5月時点で、元被告に関する文書の中にトランプ氏の名前があったことを同氏に伝えていた、といった内容が報じられています。これに対し、トランプ氏は「(元被告の)島に行ったことはない」などと述べ、違法行為への関与を否定する姿勢を貫いています。

今回のメラニア夫人による提訴の動きは、エプスタイン事件が再び世間の注目を集めるきっかけとなり、今後の米国政治における新たな焦点となる可能性を秘めています。この法廷闘争の行方は、2024年の大統領選挙にも影響を与えるかもしれません。


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